2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390301
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 謙二 Chiba University, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
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Keywords | D型アミノ酸 / D型セリン / NMDA受容体 / 統合失調症 / D型アミノ酸酸化酵素 |
Research Abstract |
以前我々は、統合失調症の病態にD型アミノ酸の一つであるD型セリンを介するNMDA受容体機能低下が関与していること、およびD型セリンの合成・分解の過程に異常がある可能性を指摘した。米国ハーバード大学のDr.Tsaiらのグループは、統合失調症患者におけるD型セリンの二重盲検プラセボ対照試験を施行したところ、D型セリンはプラセボ投与群と比較して、統合失調症の陽性症状、陰性症状、および認知機能障害を有意に改善することを報告した。しかしながら、経口投与されたD型セリンは末梢臓器においてD型アミノ酸酸化酵素(DAAO)で代謝されるため、精神疾患患者の治療には高用量のD型セリンが必要である。本研究では、統合失調症の治療におけるD型セリンの投与量を軽減することを目的として、DAAO阻害作用の併用投与の効果を検討した。KMDA受容体拮抗薬HK-801投与によるプレパルス抑制障害に対するD型セリンの効果は、DAAO阻害薬の同時投与により増強した。さらに、インビボ脳内透析法により、マウス前頭皮質における細胞外D型セリン濃度は、D型セリン単独投与に比べて、DAAO阻害薬の同時投与の方が有意に高いことが判った。D型セリンはD型アミノ酸酸化酵素(DAAO)によって分解されることが知られており、DAAO阻害作用を有する薬剤を同時投与することにより、D型セリンの投与量を軽減することが可能になった。本研究成果は、p型セリンの副作用の軽減にも繋がる重要な薬理学的アプローチである。
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Research Products
(3 results)