2007 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経内分泌腫瘍に対する血管新生阻害下内用療法:基礎研究から臨床応用へ
Project/Area Number |
19390317
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
絹谷 清剛 Kanazawa University, 医学系研究科, 教授 (20281024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 恵一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (30204663)
吉本 光喜 金沢大学, 医学系研究科, 助教 (00345638)
鷲山 幸信 金沢大学, 医学系研究科, 助教 (80313675)
小川 数馬 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (30347471)
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Keywords | アイソトープ / 内用療法 / 神経芽腫 / 腹腔内播種 / 腹腔内投与 / I131-MIBG |
Research Abstract |
悪性神経芽腫あるいは悪性褐色細胞腫による腹腔内播種に対する有効な治療法は存在しないのが現状である。一般に、体腔内に癌細胞が播種した状態において、放射能標識抗体を用いたアイソトープ内用治療を静脈内投与で行った場合、腫瘍への放射能集積が充分に得られないために望ましい治療効果が得られない。この欠点を克服するためには体腔内局所投与が効果的である。抗体が分子量15万と大きなタンパクであるのに対し、1131-MIBGは2000強の小分子であるため体腔内から循環系への吸収がより迅速に生じる可能性があるため、1131・MIBGによる内用療法に標識抗体と同じ手法が可能であるか不明である。これを検証するため、ヒト神経芽細胞腫株SK-N-SHをBalb/cヌードマウス腹腔内投与し作成した腹膜播種モデルにおいて、静脈内投与と腹腔内投与の治療効果を比較した。静脈内投与では、播種腫瘍への1131-MIBG集積は投与3時間後において1.22%ID/gに過ぎないのに対し、腹腔内投与では投与2時間後に35.9%ID/gと非常に高度の集積を示した。55.5 MBqの投与による治療後のマウス平均生存期間は、未治療群の59.3日に対し静脈内投与では60.6日と改善が得られなかったが、腹腔内投与では94.7日と有意に改善された。この投与量における腫瘍線量は、静脈内投与では450cGy、腹腔内投与では4140 cGyであった。主要臓器において治療効果比で約4-14倍の差が確認された。両群で治療後の体重変化に有意差は認められないため、毒性には差がないものと考えられる。このことは、全身主要臓器の線量に大きな差がみられないことからもサポートされることである。しかし、肝・腸管などの腹腔内臓器への線量が腹腔内投与群で倍増しているため、実際の治療においては十分な考慮が必要であることが示唆された。これらの結果から、MIBGのような小分子物質においても、体腔内投与の手法が有効であることが初めて示された。
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