2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射線感受性の腫瘍内不均一性に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
19390324
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 正俊 Nara Medical University, 医学部, 教授 (50251111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 勇雄 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20382319)
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Keywords | 放射線感受性 / 腫瘍内不均一性 / 分子生物学 / アポトーシス / p53 / 遺伝子発現 / 分化 |
Research Abstract |
上衣芽腫(p53野生型)、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、膠芽腫(p53変異型)をヌードマウス皮下に移植して,炭素イオン線(290MeV/u, 6cm-SOBP)、X線(200kV : 20mA) 0.5Gy, 2Gy, 8Gy, 16Gyの1回照射をおこない,6時間後に腫瘍を摘出して、RNA安定液に浸透後、RNAを抽出してcDNAアレイ解析,階層型クラスタリング, Gene Ontology解析, Pathway解析を実施した。組織標本では、ホルマリン固定,パラフィン包埋切片でTUNEL染色,GEAPの免疫組織化学をおこない,アポトーシス誘発,グリアへの分化を検索した。さらに2Gy照射後6時間の上衣芽腫からは凍結切片を作製して、血管周囲の腫瘍細胞とそれ以外の部位の腫瘍細胞をレーザーマイクロダイセクションで採取して、それぞれからRNAを抽出して同様の解析をおこなった。 アポトーシスは照射後6時間をピークに上昇したが、同一線量の比較ではこれまでの結果と同様、炭素イオン線照射後の方が高率であった。遺伝子発現の検討では、p53変異型の膠芽腫においては、2Gy照射後6時間では非照射対照群とほぼ同様であったが、8Gyおよび16Gy照射群で顕著な遺伝子発現の変化を認め、しかもX線後と炭素イオン線後では有意に異なっていた。一方、p53野生型腫瘍においては、2Gy照射後6時間でもX線炭素イオン線のいずれでも高率なアポトーシス誘発と顕著な遺伝子発現がみられたが,両者はほぼ同様の発現で、そのPathway解析ではいずれでもアポトーシス,p53伝達経路,細胞周期等に関与する遺伝子の有意な発現が認められた。ただし、p53野生型の上衣芽腫のマイクロダイセクションによる検索では、血管周囲の腫瘍細胞にはグリアへの分化がみられ、アポトーシスが低率で、遺伝子発現においても他の部位と異なる傾向を認めた。
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