2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌患者の骨髄・末血中における遺伝子発現解析よりみた転移機構の解明
Project/Area Number |
19390336
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三森 功士 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 助教 (50322748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 裕 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (90203249)
石井 秀始 九州大学, 自治医科大学・医学部, 講師 (10280736)
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Keywords | ITC / 消化器癌 / 転移能予測因子 / 骨髄 / 末梢血液 / VEGFR-1 / ニッチ |
Research Abstract |
【はじめに】消化器癌治癒切除術後の転移再発の-因として微量癌細胞(遊離癌細胞ITC)の存在が示唆される。転移はITC(癌細胞側)因子単独ではなく宿主側要因も重要と考えられている。本報告では胃癌転移陽性症例の宿主側発現遺伝子profileを求めた。【対象と方法】1)転移陽性6症例-陰性3症例間で全骨髄血液におけるmicroarrayを実施した。2)2001年4月より国立がんセンター胃外科の臨床病理学的因子が揃った810例の骨髄および末血よりtotal RNAを抽出しCEA・CK19・CK7を標的として各3回ずつ定量し、3つのうち少なくともひとつが陽性である症例をITC陽性とした。3)microarrayを施行。転移陽性症例特異的に認められた遺伝子もITC同様に解析し両者を比較検討した。【結果】1)VEGFR1の他にMTIMMP、u-PARが転移陽性症例において高い発現を示した。2)骨髄中ITC陽性はstage Iでも230例(46.7%)も陽性例を認めた。3)特に、VEGFR1に着目したところ腫瘍径、遠隔転移と相関し、独立した転移予測因子であった。手術時および再発時肝肺転移における危険率を比較した結果、骨髄中ITC陽性+VEGFR-1陽性が最も高く(p<0.0001,odds ratio 227)、ついでVEGFR-1単独(p<0.0001,26.2)、ITC単独(ns)の順であった。一方、腹膜播種症例についても骨髄中ITC陽性+VEGFR-1陽性が最も高かったが、その危険率は血行性転移の解析において顕著であった。【考察】ITCは胃癌早期の段階で循環している可能性が高く、それ自体は治療対象患者の選定や治療標的分子にはなりえない。ただし実験的な報告同様に癌細胞側因子とVEGFR-1発現細胞との共存により転移を成立しうることを臨床検体を用いて初めて明らかにした。
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Research Products
(4 results)