2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるタイリングアレイを用いた高解像度エピゲノム解析
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19390345
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金田 篤志 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (10313024)
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Keywords | 癌 / エピゲノム / エピジェネティクス / マイクロアレイ / 情報工学 |
Research Abstract |
DNA塩基配列そのものではなくその修飾要素として細胞分裂の際に娘細胞に維持・伝達される情報をエピジェネティクスと呼ぶが、DNAメチル化は最も重要なエピジェネティック変化の一つであり、DNAメチル化異常を詳細にゲノム上にマッピングし癌のエピゲノム異常を解明することは、癌の複雑な遺伝子制御異常を明らかにするために必須である。オリゴをプローブに用いたゲノムタイリングアレイによる我々のDIP-chip技術を用い、消化器癌細胞株のDNAメチル化を詳細にマッピングする。平成19年度に終了した大腸癌細胞株、肝癌細胞株に加え、平成20年度は胃癌細胞株および臨床肝癌検体を用いてマッピングした。また、研究施設に新たに導入した高速シーケンサーを用いてDIP産物を大量シーケンスすることによりメチル化部位をマップするDIP-seq技術も確立した。同定されたメチル化部位から、平成19年度までに大腸癌メチル化マーカーを62か所作成し、臨床大腸癌症例79例におけるメチル化状態を質量分析機MassArrayにかけることにより定量解析したが、平成20年度はさらに43症例解析した。その結果大腸癌はDNAメチル化により3つのエピジェノタイプにクラスターされた。臨床病理学的因子と合わせて検討すると、高メチル化群はBRAF遺伝子突然変異と相関し、中メチル化群はKRAS遺伝子突然変異と相関し予後が悪く、低メチル化群はp53遺伝子突然変異と相関した。肝癌はDIP-chipの結果からHBV(+)肝癌、HCV(+)肝癌にそれぞれ特異的なメチル化候補部位を抽出、肝癌症例60例についてMassARRAYによる定量的メチル化解析を終えた。今後臨床病理学的因子と合わせて検討し、予後マーカーなど臨床応用可能なマーカーの同定、及び癌関連遺伝子候補の同定を行う。
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Research Products
(25 results)