2007 Fiscal Year Annual Research Report
担癌生体免疫制御解除法の併用による消化器癌に対する新規免疫制御法の構築
Project/Area Number |
19390355
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 Keio University, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20204878)
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20199334)
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20101933)
塚本 信夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20407117)
工藤 千恵 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90424126)
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Keywords | 消化器癌 / 大腸癌 / 膵癌 / 腫瘍抗原 / 免疫療法 / 免疫抑制 / 癌遺伝子 / RNA干渉 |
Research Abstract |
本年度は腫瘍抗原や分子標的候補の同定においては、大腸癌患者血清IgG抗体を用いたDNAクローニング法により、患者で免疫原性を認めるS5,S6,S13抗原を単離した。そのうちS6抗原はマウス腫瘍モデルで、DNA免疫により抗腫瘍効果が得られたので、免疫療法に臨床応用できる可能性がある。悪性黒色腫に発現する新規癌精巣抗原として解析されてきたCT4抗原は、大腸癌、胃癌、食道癌、膵癌でも高頻度に発現が認められ、血清特異IgG抗体も高頻度に検出されたので、消化器癌抗原にもなり得ることが明らかになった。さらに、大腸癌で抗原発現が認められた症例では予後が良い傾向が示され、大腸癌細胞での抗原の膜発現が樹状細胞を介した免疫誘導を促進する可能性があると考えられた。本抗原では、HLA-A24結合性T細胞エピトープを同定しているので、今後、消化器癌における免疫療法への応用の可能性を検討する予定である。消化器癌での免疫抑制機構の解析においては、大腸癌では、IL10やVEGFなど、膵癌では、TGFβ,VEGF,IL6,PD-L1などが発現することが判明した。また、新規樹状細胞抑制分子として同定した17Lは、大腸癌や膵癌細胞株でIFNγ刺激による誘導性発現あるいは恒常的発現が認められ、癌細胞の免疫回避に関与する可能性が示唆された。さらに、大腸癌では、RASやBRAF活性型変異によるMAPKシグナル亢進やAPC異常によるWntシグナル亢進を、特異阻害剤やBRAF特異RNAiで阻害することにより、IL10等の免疫抑制分子の産生を阻害できることを見いだした。これらのシグナル阻害分子が個体レベルでの免疫抑制解除に有用であることを検討するために、MAPKシグナル亢進マウス大腸癌モデルを検討した。今後、マウスモデルによる免疫抑制解除法を検討する予定である。
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Research Products
(21 results)