2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期調節因子p27制御による心筋細胞増殖の試み:臨床応用に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
19390366
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
富永 隆治 Kyushu University, 医学研究院, 教授 (70136464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳博 九州大学, 大学病院, 助教 (10260704)
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Keywords | 心筋細胞増殖 / 再生医療 |
Research Abstract |
我々は以前、細胞周期制御因子であるcyclin D1を心筋細胞に強制発現させると、心筋細胞の細胞周期が進行する事を示した(平成16-17年度科研報告;課題番号16390398)。しかし、過剰発現したcyclin D1は心筋細胞だけでなく繊維芽細胞にも発現しており、in vivoでのリモデリング誘導の可能性が示唆された。よって、より生理的な心筋細胞増殖を得るため、心筋細胞に対してその増殖抑制因子であるp27をsiRNAにて抑制し、増殖刺激を加え、細胞周期を進行させる事を試みた。 しかし、数種類のsiRNAを作成するもp27の発現抑制を確認する事ができなかった。また、これらのsiRNAを導入した心筋細胞にフェニレフリン刺激を与えると細胞が死滅してしまうため、p27発現抑制は断念した。 次に、心筋細胞増殖を抑制する原因として強固な細胞骨格の関与の可能性が報告されていることに着目し、細胞骨格をdisruptした心筋細胞に増殖刺激を加える事を考えた。Actin重合阻害剤であるcytochalasinを用いて心筋細胞骨格を破綻させ、ウイルスベクターによるcyclin D1導入を試みた。しかし、cyclin D1導入による細胞周期進行を起こすのに至適なcytochalasin濃度を得る事ができなかった。 その後、心筋細胞数の増加ではなく、残存心筋細胞のサルコメア構造修復による心機能改善を目的として研究を行った。具体的には、actin重合制御因子として近年その役割が明らかになりつつあるFormin family蛋白質に着目した。このfamilyの一員であるFhod3は幼弱な心筋細胞に発現している。我々は、心筋培養細胞にてFhod3過剰発現によるサルコメア構造形成、およびそのsiRNAによる抑制の可能性を見いだした。
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