2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈瘤発生増大破裂に関わる炎症カスケードの解明と予防的治療法の開発
Project/Area Number |
19390377
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 信夫 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (40135570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 和彦 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252452)
片岡 大治 独立行政法人国立病院機構, 姫路医療センター, 脳神経外科医師 (40359815)
北 徹 京都大学, 医学研究科, 教授 (60161460)
永田 和宏 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50127114)
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Keywords | 脳動脈瘤 / クモ膜下出血 / NF-kB / MMP / TIMP / 炎症 |
Research Abstract |
(1)脳動脈瘤発生の分子メカニズムの解明(特に血管内皮細胞機能低下のメカニズムについて) 血管内皮細胞において炎症に関与するさまざまな遺伝子の転写を促進させる転写因子であるNF-κBの活性化が脳動脈瘤壁で増加していることを免疫組織染色およびEMSAで明らかにし、NF-kBのsubunitであるp50のノックアウトマウスでは脳動脈瘤発生頻度が有意に減少することを示した。MCP-1、VCAM-1、MMPなどのNF-κB下流分子の発現はp50 knockout mouseで有意に減少しており、NF-κBのdecoyを投与によっても、脳動脈瘤の発生増大が有意に抑制された。これは脳動脈瘤発生増大において、NF-kBの活性化が重要な役割を果たしていることを示しており、NF-kBがさらに下流の炎症関連遺伝子を活性化することにより、脳動脈瘤壁での炎症カスケードが進行し、脳動脈瘤増大破裂につながることを示唆するものである。この研究成果は、NF-κBを標的とした治療により脳動脈瘤発症増大を予防するような新たな治療法の開発につながるものと期待される。 (2)脳動脈瘤増大におけるTIMPの役割 我々はこれまでにマクロファージから分泌される蛋白分解酵素であるMMP-2や-9が、脳動脈瘤増大を促進する働きがあることを報告したが、その阻害物質であるTIMP-1、-2も脳動脈瘤壁で発現が上昇するが、MMPと比較すると増加率は低く、特に進行した脳動脈瘤ではMMP/TIMPの比が上昇することを証明した。TIMP-1、TIMP-2それぞれのノックアウトマウスでは脳動脈瘤の増大が促進しており、組織におけるMMP/TIMPの不均衡が脳動脈瘤増大の一因になっていることが示唆された。
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Research Products
(11 results)