2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈瘤発生増大破裂に関わる炎症の分子カスケードの解明と予防的治療法の開発
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19390377
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
橋本 信夫 National Cardiovascular Center Research Institute, 国立循環器病センター研究所, 総長 (40135570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 和彦 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252452)
西村 真樹 京都大学, 医学研究科, 助教 (60452348)
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Keywords | 脳神経疾患 / 脳血管障害 / 脳動脈瘤 |
Research Abstract |
我々は、uclear factor-kappa B(NF-kB)が脳動脈瘤形成と増大にかかわっていることを既に発表しているが、本年度はさらにNF-kBの標的の一つであるMonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)に注目して解析した。MCAP-1は、マクロファージが病変部に遊走してくる際に必須の因子であるが、動脈瘤モデルにおいて、MCP-1は、脳動脈瘤壁ではNF-kBにより転写レベルで制御され、脳動脈瘤形成の初期では内皮細胞層で、後期にはサイトカインとして血管壁全層から分泌されていた。MCP-1ノックアウトマウスないしはドミナントネガティブ蛋白投与によりMCP-1の機能を抑制するとマクロファージ浸潤が有意に抑制され、結果として脳動脈瘤形成は著明に抑制された(Stroke2009;40(3):942-951)。これらの結果は、脳動脈瘤形成に対するMCP-1とマクロファージ浸潤の重要性を示している。臨床応用については、これまでの結果からNF-kBを抑制する薬剤が脳動脈瘤の治療薬として有効であると考え実験を行った。高脂血症治療薬であるスタチン製剤は、強力なコレステロール低下作用と共にpleiotrophic effectと呼ばれるNF-kB抑制作用を有する。ラット脳動脈瘤モデルでスタチン製剤は、その強力なNF-kB抑制効果を通じ脳動脈瘤壁の慢性炎症性変化を抑制することにより脳動脈瘤形成を抑制し、さらに既存の脳動脈瘤に対してもスタチン製剤は優れた増大抑制効果と脳動脈瘤壁の変性抑制作用を示すことを報告した(Stroke2008;39(4):1276-1285、Neurosurgery2009;64(2):357-366)。近い将来、スタチン製剤など脳動脈瘤の内服による治療薬が登場する事が期待される。
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Research Products
(4 results)