2008 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ・癌幹細胞共通抗原を標的とした免疫療法の開発
Project/Area Number |
19390384
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸田 正博 Keio University, 医学部, 講師 (20217508)
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Keywords | 癌幹細胞 / グリオーマ / 癌抗原 / 免疫療法 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
本研究では、グリオーマ・脳腫瘍幹細胞(brain cancer stem cell; BCSC)共通抗原を標的とした免疫療法を開発するため、これまで我々が確立した神経幹細胞の低密度培養法を応用して、ヒトグリオーマ細胞株、ヒトグリオーマ組織由来の培養細胞からBCSCを分離した。つぎに分離したBCSCを用いて、これまで同定されたグリオーマ抗原の神経幹細胞、グリオーマ細胞、およびBCSCにおける遺伝子発現の比較解析を行った結果、新たなBCSC抗原の候補遺伝子(A)を同定した。さらに、siRNAを用いてBCSCの細胞増殖変化を解析したところ、BCSC抗原分子(A)はBCSCの増殖に関与することが明らかになった。今後は、BCSCを標的とした新たな治療法を開発するため、免疫不全マウスにBCSCを移植したモデルマウスを作製し、in vivoでBCSC抗原分子(A)のsiRNAを投与後の増殖抑制効果を検証する予定である。一方、我々が同定したBCSC抗原分子の一つであるSOX6由来の新たなT細胞エピトープを解析するため、抗原分子のアミノ酸配列から、欧米人に多いHLA-AO2に結合するペプチドを選出し、さらにプロテアソームによる切断予測部位を解析することにより、エピトープ候補のペプチドを絞り込んだ。つぎにHLA-AO2由来の末梢血リンパ球を合成した候補ペプチド存在下で培養し、グリオーマ反応性CTLの誘導能を解析した。その結果、T細胞に抗原特異的かつHLA拘束性に認識されるSOX6抗原由来ペプチドを2種類同定した。さらにこれら同定したペプチドを用いて、末梢血から誘導した樹状細胞と共培養したT細胞が、SOX6を発現するグリオーマ細胞を特異的かつHLA拘束性に障害することを明らかにした。
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Research Products
(18 results)