Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高取 吉雄 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40179461)
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40282660)
金野 智弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (80371706)
|
Research Abstract |
本研究の目的は,ビアルロン酸,2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマ-を用いた関節機能改善剤を実用化するための基礎検討を完成させることである。この関節機能改善剤は,MPC自体による軟骨表面の保護,関節潤滑機構の改善とともに,MPCの多糖,タンパク質の保護作用によるヒアルロン酸の安定化4.効果発現時間の延長を目指すものである。今年度は,以下の検討を行った。 1.ヒアルロン酸-MPC共重合体の作製と解析軟骨表面の保護,関節潤滑機構の改善,ヒアルロン酸の安定化.効果増強を効率的に行う共重合体構造を検索した。 2.摩擦試験における摩擦係数と分子量の変化の計測上記1.で検討したヒアルロン酸-MPC共重合体の他,ヒアルロン酸溶液,MPCポリマー溶液,生理食塩水(コントロール群)等を摩擦試験機に使用して静摩擦係数,動摩擦係数を計測し,試験回数による摩擦係数の変化についても検討した。摩擦試験機の設定は,ヒトの歩行条件を考え,1Hzとした。また,経時的に溶液中の関節機能改善剤を回収し,ゲル浸透クロマトグラフィーにて分子量を計測した。この結果,関節面の摩擦が顕著に抑制されることが明らかとなった。 3.マウス0Aモデルを用いた関節機能改善剤の効果の検討顕微鏡視下にマウスの膝前十字靭帯.後十字靭帯.外側側副靭帯.内側側副靭帯の切離と,内側半月板,外側半月板の切除を組み合わせた手術を行い,重傷度の異なる変形性関節症(OA)のモデルを確立した。このモデルを用いた関節機能改善剤としての有効性の確認を行った。 以上の結果は,生体適合性ポリマーによる高潤滑型関節機能改善剤実用化へ向けた基礎検討を推進するための確信を得るに十分な結果であった。平成20年度は,上記の検討を継続するとともに,将来の実用化も見据え,ヒアルロン酸,MPCの低分子化や,ヒアルロン酸のポリオールとしての使用についても検討を加える予定である。
|