Research Abstract |
運動器細胞の三次元培養組織と力学刺激負荷により,「力学刺激」のインプットが,「遺伝子発現,蛋白発現の変化」のアウトプットとして応答を結ぶ,細胞内伝達(メカノトランスダクション)の機序を明らかにする目的で,本年度は,以下の項目で研究を実施した. 1) 様々な運動器細胞の三次元培養組織の作製および力学刺激培養法の確立 ヒト関節軟骨由来細胞,滑膜由来幹細胞,半月板由来細胞,筋組織由来細胞,および,マウス骨芽細胞,筋分化細胞を用い,三次元培養組織の作製を行った.三次元組織は直径5mm高さ3mmの円柱状のコラーゲン細胞担体を独自に作成し,凍結乾燥,架橋方法の違いによる力学的強度,マイクロCTによる微細構造を観察し,至適な作製条件を決定した.1x10^5-10^6個/mlの種々の細胞濃度にてコラーゲンゲル溶液とともに播種し,遠心法にて細胞担体内に均一に再現性よく細胞播種する方法を検討した.また,力学刺激培養を行うため,すでに開発済みの独自の力学刺激培養装置を改良し,多サンプル同時並列処理できるよう実験システムを検討し,従来の48穴細胞培養皿から96穴細胞培養皿での力学刺激培養法を作製した. 2) 力学刺激負荷による細胞骨格とメカノトランスダクションの解析 力学刺激負荷によるメカノトランスダクションの解析を行うための,細胞内リン酸化を検出する,微量蛋白測定システムをHTRFシステムを用いて構築した. 本年度の研究成果の意義は,新しい三次元力学刺激培養法と研究材料,作製法を確立し,研究を推進実施する条件設定が行えたことである.最終的な研究成果はまだ得られていないが,次年度での研究推進に向けて,研究手法の開発,確立をほぼ終えつつある.
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