2007 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔覚醒反応におけるオレキシン産生神経の役割:各種遺伝子操作マウスを用いた解析
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19390402
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 宏 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (70236313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 武 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60251055)
入鹿山 容子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90312834)
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Keywords | オレキシン / GABA / 睡眠 / 覚醒 / セロトニン |
Research Abstract |
オレキシン産生神経は、睡眠・覚醒状態を適切に維持する役割を持っており、その欠損によりナルコレプシーが発症する。また、レプチンによる制御の解析などからオレキシンは覚醒状態を適切に保つことにより摂食行動などの行動を支える機能を持っていると考えられている。われわれはオレキシンの神経が様々な神経伝達物質によって制御されていることを見いだしてきた。本研究ではこれらの物質がオレキシン産生神経の活動を制御する機構を解明し、さらにはin vivoにおける生理的役割を解明するために解析を行った。本年は、レプチンによるオレキシン神経の抑制機構およびGABA-B1受容体によるオレキシン神経の抑制機序の生理的役割について明らかにした。様々な受容体およびシグナル伝達分子をオレキシン神経に特異的に欠損させるために、オレキシン神経特異的Cre recombinase発現マウスを作成した。このorexin/CreマウスをLoxPサイトを特定のalleleに導入した各種のfloxedマウスを交配することにより、オレキシン神経特異的に特定の遺伝子を欠損させ、その表現系を調べることが可能になる。本年度はオレキシン神経特異的にSTAT-3およびGABA-B受容体を欠損させたマウスを作成して解析に供した。 オレキシン神経特異的GABAB1欠損マウスでは、睡眠・覚醒ステージの顕著な分断化が起こっていた。このマウスの脳スライスを用いた電気生理学的解析から、オレキシン神経に対するGABAA受容体を介したIPSCが亢進していた。コントロールではオレキシン投与によりオレキシン神経へのIPSCが亢進すること、逆に、GABA-B1 cKOマウスでは、OX1受容体拮抗薬によりコントロールと同程度まで抑制性入力が減少することから、オレキシン神経末端では、オレキシン分泌の亢進が起こっており、介在神経による反回抑制系が亢進していることが示唆された。
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