2009 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔覚醒反応におけるオレキシン産生神経の役割:各種遺伝子操作マウスを用いた解析
Project/Area Number |
19390402
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 宏 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (70236313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 武 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60251055)
人鹿山 容子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90312834)
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Keywords | オレキシン / GAVA / 睡眠 / 覚醒 / セロトニン |
Research Abstract |
昨年度、GABAb受容体がオレキシン産生神経にて特異的に欠損したマウスを作成した。このマウスでは、全身麻酔薬の作用が低下していることを見いだした。また、今年度は、5HT1A受容体のオレキシン神経特異的欠損マウスを作成して解析する予定であったが、シングル・エクソンの遺伝子であるため、5HT1A受容体遺伝子アリルにfloxを導入することが予想以上に困難であった。現在、ようやく作成に成功した時点であり、今後、このマウスの睡眠・覚醒状態に関して解析を行っていく予定である。また、昨年度に引き続き、オレキシン神経を欠損させたマウスモデルにおいて、主な作用部位であるモノアミン神経系の慢性的変化を検討してきた。細胞外記録によるモノアミン系神経の活動をモニターしつつ、脳波・筋電図測定による睡眠・覚醒状態の解析を行い、オレキシン産生神経の欠損がモノアミン系神経の活動制御に及ぼす影響を検討したところ、青斑核のノルアドレナリンニューロンの発火頻度が野生型よりもむしろ高く、in vivoのパッチクランプによる解析も行った結果、その原因はIPSC入力の現象を伴う代償性の変化であることを見いだした。この変化により、オレキシン産生神経が消失しても青斑核は覚醒時には高い発火頻度で発火することが可能となっていることが明らかになった。しかし、野生型マウスでは、ノンレム睡眠に入った直後にノルアドレナリンニューロンの発火が急速に低下したのに対し、オレキシン産生神経欠損マウスでは、ノンレム睡眠時にも野生型と比べて高い発火頻度が観察された。これは、ナルコレプシーに見られる不眠を説明しうる知見である。
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Research Products
(6 results)