2010 Fiscal Year Annual Research Report
血清中抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子自己抗体の同定及び生理学的役割の解明
Project/Area Number |
19390403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 芳嗣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30166748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 京浩 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50302708)
北村 享之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50302609)
内田 寛治 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60302709)
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Keywords | GM-CSF / 自己抗体 / 好中球機能 / 急性肺傷害 / SIRS / サイトカイン |
Research Abstract |
抗GM-CSF抗体価と、疾患との関わり、病勢との関連性を評価する上で、堅牢なGM-CSF自己抗体価測定法を用いた施設間での抗体価比較が重要である。米国オハイオ州シンシナティ子供病院トラップネル教授および新潟大学中田光教授のグループと継続的にデータの交換と検討を重ね、GM-CSF測定ELISAのプロトコールとそれぞれに使用する試薬および標準抗体の決定がほぼ完了した。現在投稿準備中である。トラップネル教授の研究室ではカニクイザルに抗GM-CSF抗体を長期間大量投与して肺の組織変化を観察する研究を引き続き行い、成果は米国胸部疾患学会雑誌に投稿、採択された。これはGM-CSFシグナルが病因に関連することを直接的に示した画期的な研究成果で、我々は、抗体精製、純度検定、血清中濃度測定系および血清中GM-CSF活性の測定系の確立の面で成果に貢献した。健常者でのGM-CSF抗体産生メカニズムを解明する基礎研究として、マウスの脾臓細胞からハイブリドーマを作製し、この中でGM-CSFに結合する抗体を産生する6つのクローンを同定した。抗体価の性状分析を継続中である。GM-CSFシグナルとその調節機構が敗血症においてどのような役割を果たすかを調査するため、盲腸結紮穿孔腹膜炎モデルを作成した。これまでの予備的実験から、GM-CSFを術前および術後早期に投与すると、激しい炎症から死亡率が増加することが観察された一方術後3時間以上経過してから投与すると、生存率が上昇することが認められた。病期によってGM-CSFシグナルの果たす役割が異なることが示唆され、その活性調節が治療的となる可能性を示唆した。好中球表面上のGM-CSF刺激によるCD11b発現量の増加率を測定してGM-CSF活性を判定量できるCD11b stimulation index(CD11bSI)を、食道全摘を施行した患者を対象に測定したところ、術中~術後早期に値が低下した。しかしこの現象は、血清中抗GM-CSF抗体の量とは相関していなかった。GM-CSF活性値が侵襲や炎症に関連する可能性を示唆する結果は得られたものの、その調節メカニズムの解明は継続課題である。
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Research Products
(3 results)