2008 Fiscal Year Annual Research Report
ドナー抗原特異的制御性T細胞を用いた移植腎免疫寛容の試み
Project/Area Number |
19390414
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高原 史郎 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70179547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (00379166)
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Keywords | 免疫寛容 / 腎臓移植 / 制御性T細胞 / superagonistCD28抗体 / Foxp3 |
Research Abstract |
制御性T細胞(regT)は、移植臓器の拒絶反応抑制効果を有するが、生体内に存在するのはごく僅かであり拒絶反応を抑制するには至らない。今回我々は、SuperagonistCD28(JJ316)抗体を用い、生体内におけるregTの増殖と移植腎に対する効果を検討した。day-3,0,3にJJ316を投与し、Wisterをドナー、Lewisをレシピエントとして、day0に移植腎急性拒絶反応モデルを作製した。Sham opeレシピエント群、mouse mlg投与群(mlg群)に比し、JJ316群ではFACSにて末梢血・脾臓・腎臓のCD4+Foxp3+regTが著増していることが確認された。移植後7日目の腎組織には浸潤細胞を認めたが、mlg群ではマクロファージが多数を占めていたのに対し、JJ316群では、Foxp3陽性regTの浸潤が多数を占めていた。mlg群では尿細管間質障害を呈し、10日程度で全例死亡したが、JJ316群では尿細管間質障害は極めて軽度であり、術後30,102日でそれぞれ1匹が死亡したが、残り6匹は120日以上生存し、組織学的にも拒絶反応所見を認めなかった。また、day-3,day+3にそれぞれ1回のみJJ316を投与し、同様の腎移植を行ったところ、移植後7日目の移植腎にはともにFoxp3陽性regTの浸潤を認めたものの、day-3投与群は移植腎の有意な生着延長を認めたが、day+3投与群は、移植腎の生着延長を認めなかったことから、腎移植時にregTを作用させることが必要であることが示唆された。さらに、生存したレシピエントについては、腎移植後120日目に2次移植として、WisterおよびBN(third party)をドナーとした心臓移植を施行したが、初期治療以降は無治療にも関わらずWisterから移植した心臓は生着したが、BNから移植した心臓は拒絶されたことが確認され、JJ316投与によりドナー特異的な免疫寛容が誘導されていることが確認された。SuperagonistCD28抗体投与による生体内regTの増殖と移植免疫寛容誘導効果は、今後の臓器移植において有用な戦略となりうると考えられた。
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Research Products
(4 results)