2009 Fiscal Year Annual Research Report
中心体複製異常を指標とした新しい膀胱癌の診断治療方針決定システムの確立をめざして
Project/Area Number |
19390416
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松山 豪泰 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70209667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 一公 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70379949)
奥田 優 山口大学, 農学部, 准教授 (10325243)
佐々木 功典 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80116722)
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Keywords | 中心体複製異常 / 膀胱癌 / ゲノム変異 / 染色体不安定性 |
Research Abstract |
本研究の目的は中心体複製異常症例に特異的なゲノム変異を認めた領域遺伝子の欠失増幅をFISH法をもちいたヒト膀胱癌臨床検体にて確認し、真に中心体複製異常と関連のある遺伝子を同定すること、ヒト継代膀胱癌細胞株をもちいて、taxane系抗癌剤に対する感受性を検討し、複製異常株と非複製異常株との比較することにより中心体複製異常とtaxane系抗癌剤感受性との関連を明らかにし、臨床の現場におけるテーラーメード医療の実践に役立てることである。 平成21年度は中心体数と染色体コピー数が相関して増加することを明らかにし、とくに中心体数が偶数の場合、染色体コピー数も偶数であるという規則性を見出し、このような場合の中心体複製異常はAurora-Aキナーゼタンパクの過剰発現によるcytokinesis failure(細胞質分離異常)が原因であることを明らかにした(Yamamoto,Y.Cancer Genet.Cytogenet.191:38-42,2009)。 また膀胱癌臨床検体において洗浄細胞診検体とタッチ生検検体を用いて中心体複製異常と予後(とくに腫瘍進展)との関連を検討し、いずれの検体をもちいた場合でも中心体複製異常は腫瘍進展を予測する独立予後予測因子であることを明らかにし、H21年日本泌尿器科学会総会および癌治療学会総会にて発表した。 さらに5-ALA(5ーアミノレブリン酸)を用いた膀胱癌PDD(光力学診断)にて偽陽性と診断された赤色蛍光部位に9番染色体不安定性があることを報告(Matsuyama, H.Oncology.76 : 118-25,2009)したが、赤色蛍光部位における9番染色体不安定性は中心体複製異常とは関連がなかった。この結果は先に報告した中心体数と9番染色体数と有意の相関性がなかった結果と一致しており、膀胱癌発生および再発進展に関して中心体複製異常を介した染色体不安定性を介する経路と9番染色体コピー数異常を介する経路(Kawauchi, S.Hum Pathol. 40 : 1783-9, 2009)が独立して存在する可能性が示唆された。 また中心体複製異常とTaxaane系抗癌剤感受性との関連では6つの膀胱癌継代培養細胞株(中心体複製異常株:4、正常株:2)を用いて検討した結果、正常株2株はすべてpaclitaxelに対する感受性を認めたが、異常株のうち3株は抵抗株であった。今後taxane系抗ガン剤を用いた抗がん化学療法施行例の効果と中心体複製異常との関連性を検討し、治療予測への応用を検討予定
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Research Products
(8 results)