2007 Fiscal Year Annual Research Report
α1アドレナリン受容体変異動物を用いた泌尿生殖機能におけるα1受容体の機能解析
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19390421
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
田上 昭人 National Research Institute for Child Health and Development, 薬剤治療研究部, 部長 (60301800)
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Keywords | α1アドレナリン受容体 / 射精 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
泌尿生殖機能におけるα1アドレナリン受容体(α1A,B,D)の分子生物学的メカニズムを明らかにするために、それぞれの受容体の遺伝子改変モデル動物を作成し、分子レベルから個体レベルに至るまでの解明を行い、治療・創薬・予防への応用を図ることを目的として研究を行った。それぞれの受容体の遺伝子欠損動物(α1A欠損マウス、α1B欠損マウス、α1D欠損マウス、α1A/α1B/α1D三重欠損マウス)を作成し、生殖能力を解析し、それぞれの受容体の受精・生殖における生理機能を解析した。マウスの作成は、それぞれの欠損マウス(α1A欠損マウス、α1B欠損マウス、α1D欠損マウス)の交配を行い、マウス尻尾のDNAを用いてタイピングを行いマウスの遺伝子型を確認した。交配成功率は、α1A欠損マウスで約50%低下が見られ、α1A/α1B/α1D三重欠損マウスでは交配成功率は5%以下であった。精巣、輸精管、精巣上体における精子数を解析したところ精巣における精子数にはそれぞれのマウスで差は認められなかったが、輸精管における精子数は、α1A欠損マウスで低下、α1A/α1B/α1D三重欠損マウスでは著明な低下が認められた。この結果より、精巣で作られる精子の輸精管における輸送にα1Aアドレナリン受容体が重要な働きをし、一部残りの機能をα1Bアドレナリン受容体、α1Dアドレナリン受容体が補っているものと考えられた。 この結果は、今後薬物受容体特異的薬物の開発において薬物の効果・副作用を予測する上で非常に重要な知見となり、薬物開発に有用であると考えられる。また、それぞれの受容に作用する十分な特異的薬物が存在しない現在では、モデル動物は、個体レベルにおける受容体の評価系としては非常に有用となると考えられる。
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Research Products
(3 results)