2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内環境の悪化に起因する成長後の各種疾患発症機序の解析とその予防法の開発
Project/Area Number |
19390428
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐川 典正 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00162321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263005)
山本 初実 独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター, 臨床研究部, 研究員 (90416199)
由良 茂夫 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教 (60335289)
神元 由紀 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90422865)
梅川 孝 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80422864)
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Keywords | 糖代謝 / 酸化ストレス / 肥満 / アデイポカイン / インスリン感受性 / 炎症反応 / サイトカイン / 胎児プログラミング |
Research Abstract |
[目的]高脂肪食摂取による肥満が妊娠母体および胎児におよぼす長期的影響を検討する目的で、肥満妊娠モデルマウスを作成し、酸化ストレスおよび脂肪組織局所炎症の視点から母児の糖代謝調節機序を解析した。 [方法]抗酸化系分子の一つであるthioredoxin-1(TRX-1)を全身に過剰発現する遺伝子改変マウス(TRX-Tg)を用いて、胎盤ならびに胎仔におけるTRX発現が胎児発育におよぼす影響を糖代謝関連因子発現の視点から検討した。また、高脂肪食(HFD)摂餌による肥満妊娠マウスモデルを作成し、肥満が、母獣の糖代謝ならびに胎仔発育におよぼす影響を検討した。 [結果]TRX-Tgマウス胎仔はWt胎仔に比し有意に重かったが、これには胎盤におけるコルチコステロン代謝の変化を介したGLUT-1発現亢進が関与していると考えられた。また、高脂肪食負荷により、耐糖能が対照ND妊娠群に比し低下し、インスリン抵抗性が有意に高い肥満妊娠モデル(HFD妊娠群)が作成できた。HFD妊娠群の脂肪量は皮下、内臓ともにND妊娠群より有意に多かった。また脂肪細胞は、非妊娠・妊娠時共にHFD群はND群に比し大きく、脂肪細胞当たりのマクロファージ数はHFD群において有意に増加していた。 [結論]胎盤の抗酸化機構はGLUT-1発現を介して胎仔発育を調節していることが示された。また、高脂肪食摂取による肥満妊娠では、脂肪組織局所へのmacrophage浸潤の増加を介したadipokines発現変化等によるインスリン抵抗性の充進が内臓脂肪、皮下脂肪両者において生じている可能性が示唆された。次年度はこのマウスモデルを用いて、母児の長期予後についても検討する予定である。
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Research Products
(5 results)