2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内環境の悪化に起因する成長後の各種疾患発症機序の解析とその予防法の開発
Project/Area Number |
19390428
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐川 典正 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00162321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263005)
溝口 明 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90181916)
梅川 孝 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80422864)
神元 有紀 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90422865)
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Keywords | 肥満 / 糖代謝 / 炎症反応 / 酸化ストレス / アディポカイン / インスリン感受性 / 胎児プログラミング / マクロファージ |
Research Abstract |
[目的]肥満が妊娠母体および胎児におよぼす長期的影響を脂肪組織局所炎症および酸化ストレスの視点から検討した。 [方法]倫理委員会承認の下に帝王切開時に皮下及び内臓脂肪を採取しアディポカイン発現及びマクロファージ浸潤度を解析した。また、高脂肪食(HFD)摂餌による肥満妊娠マウスモデルを作成し、肥満が、母獣のならびに新生仔の糖代謝におよぼす影響を検討した。 [結果]妊娠中には脂肪細胞の肥大化とM1マクロファージの浸潤の増加を介したTNFα、レジスチン発現の増加とアディポネクチン発現の低下が認められた。肥満妊娠ではそれら変化がさらに増強していた。一方、肥満妊娠マウスモデルでも、ヒトと同様のマクロファージの浸潤やadipokine発現変化が見られ、骨格筋のGLUT4遺伝子発現の低下が認められた。thioredoxin-1(TRX-1)過剰発現マウス(TRX-Tg)胎仔の胎盤では、11βHSD-1活性上昇と11βHSD-2活性低下によりglucocorticoid代謝が活性化し、GLUT-1発現を誘導した。4週齢の体重、摂取カロリー量、空腹時血糖(FBS)、インスリン値および糖負荷試験に有意差を認めなかった。10週齢のFBS、インスリン値はTg群で有意に低かったが、糖負荷試験ではTg群で有意なインスリン分泌の低下および血糖の上昇を認めた(p<0.01)。しかし、インスリン負荷試験では有意差を認めなかった。また、膵臓の形成に関係するとされるPdx-1発現はTgの方がWtに比して有意に低かった。 [結論]妊婦特に肥満妊婦に生じるインスリン抵抗性には脂肪細胞の肥大化とM1マクロファージの浸潤増加を介したアディポカインの発現変化が関与する。また、hTRX-1 Tgマウスでは、抗酸化機構が胎盤におけるglucocorticoid代謝活性化を介してGLUT-1発現を亢進し胎仔発育を調節することが示された。Tgマウスでは成獣期に膵臓β細胞の機能低下(インスリン分泌の低下)を伴う耐糖能低下を認めた。
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Research Products
(5 results)