2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による頭頚部癌診断・治療の新しい展開
Project/Area Number |
19390432
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 諭 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (20125347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 明宏 北海道大学, 大学病院, 講師 (30312359)
畠山 鎮次 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70294973)
白土 博樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20187537)
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Keywords | 頭頸部癌 / プロテオーム / ユビキチン |
Research Abstract |
今回、頭頸部癌とユビキチンを中心に下記の如くまとめたので報告する。 TRIM32の分子生化学的機能解析を行った。TRIM32が癌細胞の浸潤や転移にも関与していることが示唆される。さらに、TRIM32がシスプラチンによるアポトーシスを抑制することから、シスプラチンの耐性化にも関与していることが考えられた。今回の研究結果より、ユビキチンリガーゼTRIM32の新規標的タンパク質としてAbi2を同定した。そして、TRIM32は癌細胞の増殖や転移、そして抗癌剤の耐性化に関与する癌遺伝子として機能することが示唆された。 最近、UBE2Q2と命名された遺伝子も頭頸部扁平上皮癌、特に下咽頭癌において高頻度に高い発現をすることが明らかとなった。そこでUBE2Q2遺伝子の発現が頭頸部悪性腫瘍と何らかの関わりを持つ可能性を示唆していると考えられた。ここでは、特にUBE2Q2遺伝子の発現上昇と頭頸部悪性腫瘍との関係が病理組織学的手法及び分子生化学的手法を用いて解析された。今回の研究において示された頭頸部扁平上皮癌細胞株や頭頸部扁平上皮癌組織でUBE2Q2の発現上昇という結果は、通常であればUBE2Q2が癌遺伝子としての性質を有しているものと考えることが可能である。しかしながら、CisplatinやDocetaxelなどの抗腫瘍薬に対し耐性を獲得した頭頸部扁平上皮癌細胞株や再発頭頸部扁平上皮癌組織においてUBE2Q2の発現の減少が認められた。またUBE2Q2を過剰発現した頭頸部扁平上皮癌細胞株では細胞増殖が抑制され、さらにUBE2Q2を過剰発現させた線維芽細胞株においては、細胞集塊の形成や足場依存性の細胞増殖の抑制が確認された。これらのことからUBE2Q2が癌抑制遺伝子的な働きをしていることが推察された。
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