2007 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性鼻炎の制御に向けた新たな治療戦略の確立-免疫分子生物学的研究-
Project/Area Number |
19390434
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川内 秀之 Shimane University, 医学部, 教授 (50161279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 真吾 島根大学, 医学部, 講師 (60152667)
佐野 千晶 島根大学, 医学部, 講師 (70325059)
山田 高也 島根大学, 総合科学研究支援センター, 准教授 (50191317)
青井 典明 島根大学, 医学部, 助教 (80452556)
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / Toll-like receptor / 免疫療法 / Tg mice / IL-15 / マスト細胞 |
Research Abstract |
検討結果:(1)IL-15は肥満細胞の増殖活性化因子として知られており、本研究では、粘膜面でのアレルギー反応におけるIL-15の役割を調べるため、IL-15ノックアウト(KO)マウスと野生型マウスのマウスアレルギー性鼻炎について比較検討した。その結果、OVA感作後のIL-15KOマウスにおけるOVA特異的IgE量及び脾臓におけるTh1/Th2応答は、野生型マウスと比較して有意差はなかった。感作マウスにおけるOVA点鼻後の症状は、IL-15KOマウスで増悪しており、鼻粘膜への好酸球浸潤も亢進していた。野生型マウス骨髄由来肥満細胞(BMMC)とIL-15KOマウス由来BMMCでは、FcεR及びCD117の発現に差は認められなかったが、IL-15KOマウス由来BMMCで脱顆粒率が高く、リコンビナントIL-15を添加することで野生型マウスおよびIL-15KO由来いずれのBMMCでも脱顆粒が抑制された。 更にOVAで感作した野生型マウスにOVAと共にリコンビナントIL-15を点鼻投与したところ、症状および鼻粘膜への好酸球浸潤が抑制された。以上の結果より、IL-15は鼻粘膜局所の実効相におけるTh2反応を抑制することにより、アレルギー反応を制御しているものと考えられた。さらに、IL-15は肥満細胞の脱顆粒を抑制することにより、鼻アレルギー症状を制御している可能性も示唆された。 (2)アレルギー性鼻炎の実効相において中心的な役割を担う肥満細胞では、in vitroの実験により、LPS刺激によりTLR4を介してTh2型サイトカイン産生が誘導されることが証明されているが、in vivoでのデータは少ない。我々はマウスアレルギー性鼻炎モデルを作製し、反応相におけるLPSの影響について検討した。 その結果、くしゃみの回数は、OVA単独点鼻群と比較して、OVAとLPS点鼻群において有意な増加を認めた。鼻粘膜組織では、OVA単独点鼻群において好酸球浸潤を認めたが、OVAとLPS点鼻群では好酸球浸潤がより顕著となった。鼻粘膜のTh2型サイトカイン発現の検討では、IL-5,IL-10,IL-13いずれもOVA単独点鼻群で発現を認めたが、OVAとLPS点鼻群ではOVA単独点鼻群と比較してIL-5の発現の増強を認めた。上記の結果から、実効相においてLPSが肥満細胞のTLR4を介しIL-5発現を誘導することによりアレルギー性炎症の増悪因子として作用することが示唆された。
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Research Products
(44 results)