2008 Fiscal Year Annual Research Report
内耳有毛細胞に存在する新規機械電気変換イオンチャネルの単離と機能解析
Project/Area Number |
19390438
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鵜川 眞也 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (20326135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 昌一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20216063)
植田 高史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90244540)
村上 信五 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80157750)
石田 雄介 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30381809)
梶田 健二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (80381820)
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Keywords | MET channel / ASIC1b / 有毛細胞 / 感覚毛 / 内耳 / ノックアウトマウス / ABR / 難聴 |
Research Abstract |
作製したASIC1bノックアウトマウスの聴力をABR(auditory brain response)法を用いて、16週齡まで経過を追って観察した。これらノックアウトマウスには、生後4週の時点ですでに〜20dB程度の難聴が生じており、この障害の程度は生後16週齡まで変化しなかった。DPOAE(distortion product oto-acoustic emission)法を用いて外有毛細胞の機能を経時的に観察したが、ABRの結果と一致して、生後4週の時点ですでに軽度から中等度の障害が発生し、この障害の程度も生後16週齡まで変化しなかった。これらの結果は、ASIC1b遺伝子欠損マウスには非進行性の難聴が生じていることを意味している。生後5日齢前後のノックアウトマウスの蝸牛を摘出し、ジェット水流にて感覚毛を屈曲させ、パッチクランプ法を用いて惹起されるMET(mechano-electrical transduction)電流を測定したところ、内有毛細胞・外有毛細胞において軽度ではあるがMET電流値の減少が認められた。透過型電子顕微鏡を用いてノックアウトマウス外有毛細胞感覚毛のチップリンクを観察したが、解剖学的構造は正常を保っており、明らかな変性等の異常所見は見られなかった。以上の結果は、ASIC1bは有毛細胞におけるMET電流発生機序において必須の遺伝子であり、ASIC1bチャネル自身がチップリンクとは無関係にMETチャネルとして機能している可能性を強く示唆するものである。また、ASIC1bノックアウトマウスの蝸牛においてASIC1の免疫反応がわずかながら残存していたことから、この反応はスプライスバリアントであるASIC1aに起因するものではないかと考え、ASIC1aとASIC1bのダブルノックアウトマウスを作製した。両者が複合体を形成して有毛細胞で機能している可能性が高いので、今後、このマウスも実験の対象に加えていく予定である。
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Research Products
(1 results)