Research Abstract |
これまで,高速三次元・前眼部OCTにより,角膜,強膜,虹彩,隅角について,その微細構造を立体的に描出することに成功した.今年度は,前眼部各組織の生体計測を定量的に行えるようなツールを開発し,ソフトウェアとして本機に搭載した.具体的には前房深度,角膜厚,角膜角度を自動的に記録でき,また前房レンズシミュレーションやLASIK安全域の表示を行う機能などである.隅角については,AOD(angle opening distance), ACA(anterior chamber angle), ARA(anglg recess area), TISA(trabecular iris space area)を自動計算できる機能の開発を行った.さらに,角膜形状解析機能を開発し,装置のさらなる多機能化を図った.この角膜形状解析機能は,涙液の状態に影響を受けない点で従来のビデオケラトグラフィーより優れており,円錐角膜や角膜移植後眼などの不正乱視眼での測定に威力を発揮することが判った.強膜岬及び線維柱帯の検出力を上げ,従来の侵襲的な隅角鏡検査に代わり,非侵襲的で簡便な隅角スクリーニング方法として確立することを目指した.とくに,角膜混濁や前房混濁のある場合でも制限を受けないことから,これまでにない有用な臨床的方法となった.これまでに定量的な隅角測定および前房深度測定方法として,光学的計測法ペンタカム,スリットスキャン型角膜形状解析装置Orbscan, ultrasound biomicroscope(UBM),隅角鏡検査などが用いられてきた.正常眼及び緑内障患者でこれらの測定値と,本OCT装置との測定値を比較し,その違いおよび特徴を検討した.角膜厚,前房深度,隅角開大度など,定量的なパラメターについて,本機と従来の測定方法との一致度,差違を統計学的に検討した.非侵襲,非接触検査という利点を生かし,術後早期の緑内障ブレブの内部構造について,詳細な解析を行った.
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