2007 Fiscal Year Annual Research Report
各種視神経変性モデルにおける網膜神経節細胞死と細胞外基質の関連の解明
Project/Area Number |
19390444
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
根木 昭 Kobe University, 医学系研究科, 教授 (00189359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80273788)
金森 章泰 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (10444572)
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Keywords | 視神経 / 視神経挫滅 / 慢性高眼圧 / 糖尿病網膜証 / 網膜神経節細胞 / 軸索輸送 |
Research Abstract |
各種の視神経変性モデルを作成し、網膜神経節細胞死にいたる経時的変化を追跡した。雄Sprague-Dawleyラットを抱水クロラールにて麻酔した。一群では、頭皮切開で視神経を露出して、球後2mmの位置で宝石用鑷子を用いて10秒間把持して、挫滅モデルとした。別の群では、3本の上強膜静脈を焼灼して慢性高眼圧モデルとした。また別の群では尾静脈からストレプトゾトシン(STZ)を静注し、糖尿病モデルとした。眼圧はトノラボ(R)を用いて計測した。安楽死の一週間前に視神経を露出して、2%fluorogoldに浸したゲルを接触留置した。摘出した網膜から伸展標本を作成し、逆向性に軸索輸送されたfluorogoldを取り込んだ網膜神経節細胞の単位面積あたりの数を求めた。また、terminal dUTP nick endlabeling染色を行い、伸展標本網膜単位面積あたりのアポトーシス細胞数をカウントした。その結果、fluorogold陽性細胞数は、正常対照で2204±44個/mm^2であるのに対して、視神経挫滅一週間で1363土65個/mm^2と約38%減少していた(p=0.002)。慢性高眼圧モデルでは2週後の段階では、対照と有意な差はなかったが、6カ月後には34.5%減少していた(p<0.006)。これに対して糖尿病網膜では少なくとも3ケ月の時点では対照に比し、有意差はなかった。一方、TUNEL陽性細胞は、正常対照ではほとんど見られなかった(10.8±5.1個/mm^2)のに対し、視神経挫滅一週間で293.2±56.8個/mm^2と急増した。慢性高眼圧モデルでは、2週間の時点で223.0±73.6個/mm^2であったが、以後経時的に減少し、3ケ月の時点で対照と変わらなくなった。糖尿病網膜症では、2週後に38.9±7.6個/mm^2であり、これは3ケ月の時点までほぼ一定であった。慢性高眼圧モデルの眼圧は誘導2週後には31.3±5.4mmHgで、正常対照(=14.3±2.1mmHg)に比べ有意に高値であったが、以後経時的に減少し、3ケ月の時点で対照と同様となった。これらのデータより、各神経変性モデルにおいて、網膜神経節細胞の脱落およびアポトーシス細胞数の経時的変化に違いがあることが示された。このような変性の進行スピードと量的な相違が、網膜と視神経の細胞外マトリックスの構成にどのように相関するのかを今後研究していく。
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Research Products
(2 results)