2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児外科領域における大脳・仙骨神経調節の有用性に関する基礎的並びに臨床的検討
Project/Area Number |
19390448
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
窪田 正幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50205150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 直樹 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00312736)
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Keywords | 神経調節 / 高頻度磁気刺激 / 仙骨磁気刺激 / 大脳磁気刺激 / 仙骨機能障害 / 胃食道逆流症 / 直腸肛門奇形 / ヒルシュスプルング病 |
Research Abstract |
平成22年度(4年間研究計画の最終年)は、過去3年間の基礎的並びに臨床的研究成果をもとに研究実績をまとめ、国際学会や国際誌での研究成果の発表を行った。 基礎的研究:家兎における実験では、家兎用スティック型電極を作成し、仙骨刺激に対する外肛門括約筋反応の再現性のある導出を可能とし、頭部高頻度磁気刺激による反応を検討したが、頭部高頻度磁気刺激に対する反応は家兎では導出困難であった。 臨床的検討:仙骨神経高頻度刺激neuromodulationによる膀胱・直腸機能改善の検討 鎖肛、ヒルシュスプルング病、慢性便秘、骨盤手術を対象として仙骨部高頻度磁気刺激に対する神経調節を行った。鎖肛に関しては過去9年間で24例の根治術を行い、過活動型膀胱1例、高度便秘2例の直腸膀胱機能障害が発生したが、高頻度磁気刺激による仙骨神経調節が3例とも著効を奏した。この結果は、国際学会にて発表し、既に英文原著として採用されている。さらに、ヒルシュスプルング病10例では、他施設での手術例において括約筋機能不全による失禁があり、磁気刺激で括約筋機能改善が認められている。慢性便秘45例においては通常の内科的治療不応10例に神経調節を施行し、半数で機能的改善が認められている。高度便秘例では、S状結腸切除後に神経調節の効果を示す症例が存在し、神経調節の応用を考える上で興味深い結痂であった。これらの結果から、研究期間内に仙骨部手術を施行した術後症例28例にはルーチン処置として施行している。今回の検討で、新たな展開と考えられたのは、仙骨部の神経調節であっても、中枢性機序により効果が発現していることから、重症心身障害児における胃食道逆流症、消化管術後の胃排泄能低下など、迷走神経支配領域の腸管機能改善も仙骨神経調節の新たな応用として可能であると結論された。
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