2007 Fiscal Year Annual Research Report
癌のリンパ行性転移の撲滅を目指して〜リンパ系ドラッグデリバリーシステムの開発〜
Project/Area Number |
19390450
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 洋志 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 助教 (00399924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
関堂 充 北海道大学, 大学病院, 講師 (40372255)
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
久下 裕司 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70321958)
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Keywords | 再生医学 / ドラッグデリバリーシステム / 悪性黒色種 / 皮膚癌 / リンパ行性転移 / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
【背景】この分野でのわれわれの目標は、リンパ管とリンパ節に効率良く分布する分子を用いて、リンパ管・所属リンパ節を標的とするドラッグデリバリーシステムを開発することである。そこで候補となる分子を、1)リンパ管内皮細胞がその分子に対して受容体を有している、2)分子の代謝経路がリンパ系を介する、3)その分子がリンパ管を経由する現象が、リンパ液の運搬や腫瘍のリンパ行性転移に関与する、4)既に臨床応用されている分子である、こと等を考慮し、ヒアルロン酸に着目した。 【目的】ヒアルロン酸は、体内の全ての組織の細胞外マトリックスに豊富に存在し、末梢組織で産生され、リンパ管を経てリンパ節に入り血管から、脾臓、肝臓へ運ばれて分解される。しかし、末梢組織の皮内・皮下に局注されたヒアルロン酸に関する基礎的な研究はまだ多くなされていない。そこで本実験では、マウスの末梢組織(四肢末端)に局所注射されたヒアルロン酸の所属リンパ節への動態を調べた。 【方法】Rhodamine B isothiocyanate(RITC)で標識したヒアルロン酸を、マウス後肢足背部皮下に局所注射した。注射5分後から1時間後まで継時的に屠殺し、各個体の膝窩および鼠径リンパ節を摘出した。これらを組織溶解剤で溶解した後、各組織に含まれるRITC標識ヒアルロン酸の蛍光強度を測定した。 【結果】時間の経過にともなう解剖学的な分布の変化が認められた。この研究の意義としては、リンパ向性と言われているヒアルロン酸の代謝経路について従来の知見を確認することと、リンパ行性であるヒアルロン酸を用いた、新しい診断方法(リンパ管のマッピング)や治療方法(薬剤のリンパ管へのドラッグデリバリーシステム)の開発への布石となることである。今後は、ヒアルロン酸を材料とした薬物担体を作成を試みて、その体内動態の確認を進めていぐ予定である。
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