2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン関連遺伝子多型解析に基づいた重症化予測と個別化治療の研究
Project/Area Number |
19390457
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
織田 成人 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (90204205)
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Keywords | サイトカイン / 遺伝子多型 / DNAチップ / 予後予測 / 個別化治療 |
Research Abstract |
近年侵襲に対する生体反応には個体差があり、その原因としてサイトカインや自然免疫に関連する各種分子の遺伝子多型の関与が明らかにされつつある。本研究は、高感度DNAチップを用いて、短時間に複数の遺伝子多型を解析するシステムを確立し、ICU入室時にDNAチップを用いた遺伝子多型解析を行い、より適切な高サイトカイン血症対策を行うという個別化治療の確立を目指すものである。本年度は、新たに開発した高感度遺伝子多型検出用バイオチップ(DNAチップ)を用いて、7種類のサイトカイン関連遺伝子多型の同時検出を、より多くの症例で試みた。同時に、集積したサンプルでたに活性化プロテインC、MIF、CD-14を加えた16種類の生体反応関連分子の遺伝子多型の網羅的解析を行い、ICU入室患者及び敗血症患者における遺伝子多型と、重症度や転帰との関連を、多変量解析を用いて詳細に検討した。その結果、TNFα-308GA、IL-1β-31CTがICU入室患者の転帰と、TNFα-308GA、IL-1β-31CTおよびTTが敗血症患者の転帰と有意に関連することが明らかになった。さらにこれら遺伝子多型情報を加えた予後予測式は、従来のAPACHE IIスコア単独よりも、より正確に転帰を予測することが可能であることが明らがになった。また、これら日本人における遺伝子多型が臨床経過に及ぼす影響を、米国で行われたGenPSS(genetic predisposition for severe sepsis)の結果と比較検討したところ、米国人ではLTA(lymphotoxin-α)の多型が転帰に影響を及ぼすものの他の臨床指標と比較してその影響は少ないのに対し、日本人では先の2つの多型がより密接に臨床経過に関連しており、遺伝子多型の頻度のみならず多型の存在が臨床経過に及ぼす影響にも人種差があることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)