2008 Fiscal Year Annual Research Report
味覚受容器の発生・再生と味覚受容機構の獲得に関する神経生物学的研究
Project/Area Number |
19390464
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
脇坂 聡 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 教授 (40158598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 隆史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80324789)
本間 志保 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (40372627)
阿部 真土 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40448105)
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Keywords | 味蕾 / 味覚神経 / 神経損傷 / 味覚受容関連分子 / アポトーシス / 細胞系譜 |
Research Abstract |
口腔の機能は栄養の摂取であるが、単に食物摂取ではなく「美味しく食べること」はQOLの向上に極めて重要である。口腔内感覚のうち味覚は「美味しく食べること」について極めて重要な感覚である。本研究では(1)味覚受容器である味蕾の発育と味覚受容機構の獲得の関係、(2)味蕾細胞の細胞系譜について検討を行った。 (1)味覚神経損傷後の味受容関連分子の時間的、空間的発現:ラット有郭乳頭を支配する舌咽神経を両側性に損傷させると、損傷後1日から味蕾における細胞の数は減少し、味蕾は損傷4日から急速に減少した。変性中の味蕾細胞を組織化学的に検索すると、損傷3日で味蕾細胞の前駆細胞であるIV型細胞が消失していた。このことは味蕾神経損傷によりIV型細胞が消失し、その結果味蕾が消失することが示唆された。この変性味蕾について苦味受容に関与するα-gustducinのmRNA発現を検察すると、味蕾が消失してもmRNAが発現しており、味蕾が消失しても舌後方部に苦味刺激により味覚受容の中継核の一つである結合腕傍核で神経活性の指標であるc-fosが発現しており、形態学的に味蕾が再生していなくても味覚受容が行われている可能性を示すものである。 (2)味蕾変性時における成獣細胞系譜と味受容関連分子発現細胞の関係:舌咽神経損傷後の有郭乳味蕾でのアポトーシスを単鎖DNA(ssDNA)を用い、味蕾構成細胞の細胞型のマーカーと二重染色を行ったところssDNA陽性細胞は正常動物ではI型とII型に認められたのが、神経損傷後はI~IV型の全ての細胞に認められた。このことは味覚神経は味蕾の全ての細胞の維持に関与していることが明らかになった。
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