Research Abstract |
本年度は,欠損拡大のパターンについて検討した.対象者は大阪府アクティブシニア講座受講者のうち,残根ならびにインプラントを有さない者1444名(男性669名,女性775名,平均年齢66.2±4.2歳)とした. まず,口腔内検診を行い,1歯欠損ならびに2歯欠損の者を抽出した.次に,それぞれの欠損部位を調査し,欠損パターンを比較することで,歯の欠損の拡大の順序を特定した.対象者のうち1歯欠損の者は205名(14.2%),21歯欠損の者は160名(11.1%)であった.1歯欠損の場合に,最も喪失する確率の高い歯は,第二大臼歯であった.上顎第二大臼歯を欠損している者は27.8%,下顎第二大臼歯を欠損している者は24.4%であった.次いで,下顎第一大臼歯を欠損している者が多く,14.6%であった. 2歯欠損の者のうち,第二大臼歯に欠損を含む者は61.3%であった.2歯欠損の場合,最も多いパターンは,第二大臼歯とそれに隣接する第一大臼歯が欠損している者で23.8%であった.次いで,第二大臼歯とその同顎反対側の第二大臼歯が欠損している者が13.1%であった.また,欠損部位と対顎反対側の第二大臼歯が欠損している者は5.6%であった.一方,欠損した第二大臼歯の対合歯である第二大臼歯が欠損している者はわずか1.9%であった. これらの結果から,歯の欠損は最後方臼歯である第二大臼歯から始まり,次いで欠損歯の前方の第一大臼歯,もしくは反対側の第二大臼歯へと拡大していくと考えられた.一方,欠損歯の対合歯である対顎の第二大臼歯は,加わる咬合力が減少し,その結果,他の部位の第二大臼歯よりも欠損する可能性が低下したと考えられる.
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