2007 Fiscal Year Annual Research Report
遊離組織移植の生着率向上のための血管吻合手技と管理法の確立
Project/Area Number |
19390519
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹栗 正明 Kyushu University, 大学病院, 准教授 (00225898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠司 九州大学, 歯学研究科, 教授 (60189040)
磯貝 典孝 近畿大学, 医学研究科, 教授 (90203067)
光安 岳志 九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
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Keywords | 遊離組織移植 / 微小血管吻合 / 皮弁血流 |
Research Abstract |
1.ラットにおける広背筋移植 (1)ラット広背筋血管柄の確認 還流固定されたラットを用い広背筋血管柄の確認を行った。尾側より頭側へ前鋸筋上で広背筋を確認し挙上。広背筋を挙上し肩甲下動脈を確認し、さらに血管柄を中枢側へ追求し腋下動静脈を確認した。移植血管柄として脇下動静脈が使用できる。血管柄の外径は動静脈とも1mm以上はあった。 (2)ラットを用いた遊離広背筋移植 Wisterラットを用いた広背筋移植での生着率は60%程度であった。原因としては、小動物での微小血管吻合、遊離組織移植に不慣れであること、血管柄が予想以上に細かったことなどが考えられる。ラットにおける皮弁挙上・微小血管吻合への習熟が必要であり、現在他の実験で還流固定されたラットを用い手技の向上に努めている。また300g程度のラットでは血管柄が1mm以下のものが多いが、500g以上になると血管柄の径も1mm以上で安定してくるため、今後は500g以上を使用する予定である。 2.口腔癌切除後再建術の遊離組織移植後の血行動態 遊離組織移植による口腔再建症例を対象にレーザードプラー、超音波ドプラー血流計を用い術後の血行動態を観察した。術直後は血流が減少する症例、直後から増加する症例が見られたがいずれも漸増し術後3日目ごろには血行は安定し1週間後は、術前よりも皮弁血流は増加した。術後1週間目、2週間目、3週間目で皮弁血流に変化はなかった。術後3日目まではPGE1投与など決行改善の補助手段が必要と思われる。PGE1投与による血流変化は、1回の投与で50-100%の血流増加がみられ、そのピークは投与開始後90分前後であり、血流増加時間は3時間半から4時間であった。1日2回のPGE1投与で1日の血流増加時間は7時間から8時間程度であるが、血行が不安定な時期には意義があると思われる。今後動物においても確認する予定である。
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