2009 Fiscal Year Annual Research Report
遊離組織移植の生着率向上のための血管吻合手技と管理法の確立
Project/Area Number |
19390519
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹栗 正明 Kyushu University, 大学病院, 准助教 (00225898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 誠司 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60189040)
磯貝 典孝 近畿大学, 医学研究科, 教授 (90203067)
光安 岳志 九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
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Keywords | 遊離組織移植 / 微小血管吻合 / 皮弁血流 |
Research Abstract |
1. 遊離移植における血行障害の原因についての検討 遊離組織移植による口腔再建症例58例を対象に吻合血管の状態と術中・術後の血流状態を観察し、血管吻合後血行障害との関連を検討した。吻合血管径の関係は頸部動脈径が皮弁動脈径より大きいか,皮弁静脈径が頸部静脈径より大きい血管径のdiscrepancyは29%に認められた,血管内腔の状態は内膜肥厚・剥離や血管内debrisなど血管の異常が40%に認められた.血行障害症例は9例で、発症時期は大部分が48時間以内であった.9例中血管径のdiscrepancyが3例,血管の異常が8例に認められた.術後再吻合症例4例中早期に再吻合できた3例が救済できた.以上より血管の異常は血行障害の誘因のひとつと考えられ、移植の生着率を向上のためには皮弁血流を慎重に観察し、血行障害の早期発見と早期対応が必要である. 2. ラットにおける皮弁移植 (1) 吻合状態の違いによる血栓形成状況:吻合部を以下の状態(1)下流の血管内に上流の血管を入れる、(2)上流血管内に下流の血管断端を入れる、(3)吻合部に外膜組織を入れた状態で吻合したところ、(3)(2)(1)の順で血栓形成する傾向にあり、血流障害につながった。しかし、ヘパリン処理では血栓形成は抑制できなかった。 (2) 皮弁切離後虚血時間と血流障害:皮弁摘出後の虚血時間が2時間を超えると、動脈吻合後静脈還流を認めないか、不良であった症例が増加した。血流障害例に対し、皮弁内にヘパリン加生食を還流させても再灌流を認めない症例があったが、摘出時にヘパリン加生食を還流充満させていた場合の血流は良好であった。 3. 次年度は、(1)吻合血管の組織学的検索、(2)皮弁内をヘパリン加生食で満たした場合と、血液で満たした場合の血管内皮細胞の変化、(3)血管クリップによる血管形態、内皮細胞の変化を観察する。最終年度として、血行障害に関連する因子をまとめ、生着率向上に向けての管理法を検討する。
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Research Products
(1 results)