2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390529
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山城 隆 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70294428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 正寛 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (40215562)
上岡 寛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80253219)
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Keywords | 糖鎖 / ヘパラン硫酸 / 歯 / 上皮間葉相互作用 / sulf1 / sulf2 / 象牙質 |
Research Abstract |
糖鎖はタンパク質が翻訳された後に付加され、生体のシグナルとしてはたらくタンパク質を多彩に修飾し、その生理的機能および伝達を制御していることが明らかにされてきている。このような糖鎖によるタンパク質の修飾は、細胞、臓器、固体などの多様性を生み、タンパク質はゲノム情報では推定できない多くの機能を得ることが可能となる。本研究は、歯の形成、特に象牙芽細胞、エナメル芽細胞、象牙芽細胞の分化における糖鎖の役割を明らかにする。特に、上皮間葉相互作用における基底膜のヘパラン硫酸プロテオグリカンによる、シグナル分子の伝達のメカニズムを明らかにする点である。我々はヘパラン硫酸の硫酸基分解酵素であるSulf1とSulf2と呼ばれる遺伝子について注目し、歯の発生におけるそのmRNAの発現の分布と歯の発生における機能的役割について検討した。その結果、Sulf1とSulf2は歯の発生において、エナメル上皮や歯髄細胞などに特異的に発現すること、また、その発現分布からその発現は上皮間葉相互作用によって制御されていることが示唆された。また、Sulf1とSulf2の歯の発生における役割を検討するために、これらの遺伝子の遺伝子改変動物を用いて歯の表現形を解析したところ、Sulf1とSulf2のいずれもノックアウトしたSulf1-/-,Sulf2-/-(Sulf1/Sulf2DKO)マウスにおいて、象牙質の形成が不全になり、また、歯根の成育が阻害されることを確認した。Sulf1とSulf2のそれぞれのシングルノックアウトマウスでは歯の表現形は観察されなかったことから、Sulf1とSulf2の間に機能的冗長性(functional redundancy)があることとが示唆された。これらの結果から、歯の発生に糖鎖が重要な役割をはたすことがはじめて明らかにされた。
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