2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームとしての歯周炎の病態解明-感染免疫特性からのアプローチ-
Project/Area Number |
19390536
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 和久 Niigata University, 医歯学系, 教授 (00182478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 貴子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40303143)
多部田 康一 新潟大学, 超域研究機構, 准教授 (20401763)
伊藤 晴江 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30397145)
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Keywords | 冠動脈心疾患 / 歯周炎 / Porphyromonas gingivalis / 血清抗体 / 高感度CRP |
Research Abstract |
口腔内感染症である歯周炎と冠動脈心疾患の関連について疫学的報告が多くなされている。歯周病原細菌感染の影響は、1,菌体成分による血管内皮細胞の傷害、2,歯周炎局所で産生された炎症性サイトカインによる血管内皮細胞の傷害、3,菌体成分とヒト細胞成分の分子相同性、が考えられている。これらの影響のうち感染の全身への影響の結果、C反応性タンパク(CRP)の上昇と冠動脈疾患のリスクが注目されているが、本邦におけるデータは極めて少ない。今年度は歯周炎患者(78名)を対象として歯周治療前および治療後に血清中の高感度(hs)CRPを測定し、歯周炎の全身に及ぼす影響を検討した。対照は歯周組織の健康な成人(40名)とし、炎症性サイトカインIL-6、TNF-αも同時に測定した。群間比較及び群内比較にはそれぞれMann-Whitney U-test)、Wilcoxon signed-ranks testを用いた。その結果、hs-CRP、IL-6は歯周炎患者で対照と比較して有意に高く、治療後は有意な低下を示した。一方、TNF-αは術前、術後いずれにおいても対照群よりも有意に高い値を示した。術前のhs-CRP値を基に患者群で4分位解析を行ったところ、最も高値を示した群(25%)でのみ術後にhs-CRPの有意な低下を認めた。IL-6についても同様の結果が得られた。しかしながら4群の間で歯周組織の状態に有意な違いはなかった。これらのことは歯周病原細菌感染が歯周組織破壊のリスクに及ぼす影響とは独立して冠動脈心疾患のリスクとなり得ること、さらにそれは歯周炎患者の一部であることがが明らかになった。 今年度はさらに、歯周病原細菌P.gingivalis感染によるマウスにおける実験的歯周炎モデルを確立した。大動脈における遺伝子発現をDNAマイクロアレイで解析した。その結果、ヒトにおける動脈硬化症に関連する遺伝子に有意な変動が認められた。詳細については21年度にかけてさらに解析を進める予定である。
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Research Products
(8 results)