2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌による動脈硬化誘発機序の解明と予防ワクチンの開発
Project/Area Number |
19390537
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
落合 智子 (栗田 智子) Nihon University, 松戸歯学部, 准教授 (20130594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正文 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80210558)
大口 純人 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30366611)
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Keywords | 感染 / 歯周病 / 歯周病原細菌 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
粘膜ワクチンの動脈硬化モデルマウスに対する予防効果を検討する為に、感染に先立ちP. gingvalis40-kDa外膜タンパク質(OMP)を抗原として用い経鼻免疫を行った。 1経鼻免疫により著しい40-kDa OMP特異的血清IgG応答並びに唾液IgA抗体価を認めた。 2動脈硬化の発症・進展状況の判定:P. gingivalis経尾静脈感染群および経口投与群は動脈硬化の早期発症、促進を認めたが、経鼻免疫群は、P. gingivalisの経尾静脈および経口感染によるプラーク形成を著しく抑制した。 3病原菌の検出:血液サンプルにおいては、P. gingivalis経口感染群および尾静脈感染群共に陽性を示したが、経鼻免疫群は、これらの血中からのP. gingivalisの検出を著しく抑制した。 4骨吸収の測定:P. gingivalis経口感染群においては骨吸収の顕著な促進が認められたが、経鼻免疫群は、P. gingivalis感染による骨吸収を著しく抑制した。 5炎症性サイトカイン及び接着因子の測定:P. gingivalis感染により11週令ではL-selectin、14週令ではGCSF, GM-CSF, IFN-γ, IL-6,IL-13,RANTES, TNF-α, VEGFおよびIL-8の増加が認められたが、経鼻免疫群はこれらのサイトカイン並びに接着因子発現を著しく抑制した。 以上の結果から、P. gingivalis40-kDa外膜タンパク質の経鼻免疫により粘膜系並びに全身系組織に顕著な抗原特異的免疫応答が誘導され、その結果粘膜組織や血中でのP. gingivalisの増殖の阻害、炎症性サイトカインや接着因子発現の阻害が起こりP. gingivalis感染による動脈硬化の早期発症、促進を顕著に抑制することが示唆された。
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