2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔バイオフィルム誘発性全身疾患に対する新しい予防法の開発
Project/Area Number |
19390543
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
於保 孝彦 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50160940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 泰平 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80230358)
北田 勝浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90195264)
長田 恵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00304816)
吉田 康夫 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (10315096)
佐藤 節子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70145514)
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Keywords | 歯学 / 微生物 / 感染症 / 歯垢 |
Research Abstract |
本研究の目的は口腔バイオフィルム構成細菌によって誘発される全身疾患について、その炎症誘発の機序を調べ、これらの疾患の予防法の開発を目指すことである。 膿瘍病巣から多く回収されるStreptococus anginosus groupのもつ高い硫化水素産生能と膿瘍形成能との関係を調べるため、様々な手法を用いて硫化水素産生酵素遺伝子lcdを失活させた変異株の作製に努めた。しかし、硫化水素産生能を完全に失活することはできず、この菌種の持つ特異的な硫化水素産生機序が推測された。 次にS.anginosusグループに含まれるS.intermediusの線毛遺伝子をクローニングし、唾液タンパク質との反応を解析した。その結果、C末端側のSaf3領域が唾液タンパク質による凝集に関与し、他の領域は唾液タンパク質への結合に関わることが明らかになり、同菌の口腔内定着機序が解明された。 さらに口腔レンサ球菌による動脈硬化症誘発機序の解明をするために、9種類の菌を用いて菌が侵入したヒト血管内皮細胞のサイトカイン産生を調べたところ、数種類の菌は、IL-6、IL-8、MCP-1等の産生を誘導することがタンパク質および遺伝子レベルで認められた。このサイトカイン産生は特定の菌種に認められ、侵入した菌数には無関係であった。また菌体表層多糖欠失株を用いることによって、表層多糖が血管内皮細胞への侵入、サイトカイン産生に関与することが認められた。今後、血管内皮細胞の各種炎症マーカーの動態を調べ、口腔レンサ球菌による炎症誘発機序の解明を継続して行う計画である。
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