Research Abstract |
本研究の目的は,看護教育における系統的,段階的な提示方法を見直し,看護職の経験的な看護技術(技)やその中に含まれる暗黙知を具現化し,熟達した看護師の経験に基づく看護技術(技)を効果的に伝承できるeラーニングシステムの構築を図ることである. この目的に照らし,本年度は,初学者である看護学生30名の看護技術映像および視線データ等を収集・分析した.実験は,(1)アイカメラの装着,(2)キャリブレーション,(3)静脈注射技術の練習,(4)静脈注射の実施,(5)インタビューの手順で実施した.これらを,昨年度収集した看護師のデータと比較した結果,初学者である看護学生と看護師の視線の動き方に,特徴的な違いが見られた.また,看護技術実施後のインタビュー内容を質的に分析したところ,看護師は,注射部位の選定に重きを置いているが,看護学生は手順どおりに行なうことに重きを置いているといった違いが見られた.また,看護師は手順にほとんど個人差はないが,看護学生には手順においての誤りや,技術実施時間の個人差など,看護技術習得時の特徴が明らかになった. これらの結果から,初学者である看護学生が熟達していく過程を支援するためのeラーニングシステムについて,その学習モデルとプロトタイプシステムの仕様を検討した.さらに,看護技術(技)では,個々の手技も関係することから、その暗黙知を視線の動きだけで具現化することは難しく,看護技術の上手さを定量的に解析する方法について検討が必要と考えた.そこで,追加データとして看護師の注射時の手指の動きも計測するために,手指用モーションキャプチャを購入し実験データの計測を行なうこととした.
|