2008 Fiscal Year Annual Research Report
正期産母子に対する分娩直後のカンガルーケアの問題と安全性並びに快適性に関する研究
Project/Area Number |
19390557
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂口 けさみ Shinshu University, 医学部, 教授 (20215619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 雅美 信州大学, 医学部, 教授 (50262738)
湯本 敦子 信州大学, 医学部, 准教授 (10252115)
芳賀 亜紀子 信州大学, 医学部, 助手 (10436892)
金井 誠 信州大学, 医学部, 教授 (60214425)
市川 元基 信州大学, 医学部, 教授 (60223088)
|
Keywords | 正期産 / 母子 / カンガルーケア / 安全性 / 快適性 |
Research Abstract |
わが国では少子化が急速に進行している。臨床では母親、またその家族にとって出産は安全で、かつ次に続く育児への良い出発の機会となるよう様々な取り組みが行われている。その代表的なケアの1つにカンガルーケアがあり、現在正期産母子の場に急速に拡大しつつある。しかしカンガルーケアの取り組みは施設によってまちまちであり、カンガルーケアを実施する際の基準や具体的な手順等も明確なものが未だ作成されていないのが現状である。平成20年度は、カンガルーケアを安全に進めるためのエビデンスを得るために、胎内生活から胎外生活に移行する正期産新生児の適応状態について、上肢および下肢のSaO2を同時に、かつ継続して測定できる機器を独自に設計し、出生後約2時間までの児のSaO2の推移を検討した。さらに、カンガルーケア実施に伴いSaO2がどのように変化するかを検討した。その結果、上肢に比較し下肢のSaO2の上昇が緩やかに回復していることが明らかになった。具体的なSaO2の値が95%以上に達する時間をみると、上肢の12分に対して下肢では16分を要していた。羊水混濁が認められた例では、上肢および下肢SaO2の上昇は、これらを認めない例に比較して有意に遅いことも明らかになった。具体的な値をみると95%に達する時間は上肢の13分に対して下肢では20分を要しており、その後もSaO2の値は95%より低下する例が認められた。なおカンガルーケア中はSaO2の低下を認めることはなかった。なお今回の測定中、カンガルーケアを行うための児の移動に伴い、SaO2が低下する例が約半数に認められた。このことからカンガルーケアを安全に行うためには、実施する症例を慎重に検討するとともに、下肢SaO2を少なくとも20分以上、継続して測定する必要のあることが示唆された。
|
Research Products
(11 results)