2009 Fiscal Year Annual Research Report
スマトラ河川流域社会の20世紀:比較と定点継続調査を基軸とする学際的研究
Project/Area Number |
19401010
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
加藤 剛 Ryukoku University, 社会学部, 教授 (60127066)
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Keywords | 東南アジア島嶼域 / 河川流域社会 / 海域ネットワーク / 国民国 / インドラギリ川 |
Research Abstract |
研究代表者の加藤は、アメリカへ3週間強の出張を行なった。出張先はウィスコンシン大学マディソン校とコーネル大学である。前者では、インドラギリ川中流域のゴム・プランテーションに関する資料を中央図書館で渉猟し、滞在期間がより長かった後者では、オーリン図書館のエコルズ東南アジア・コレクションにおいてインドネシア独立後のインドラギリ川中流域に関する古い新聞記事の閲覧と収集を行なった。前者では滞在日数が短いことを勘案し、資料収集は中央スマトラ行政地域ごとのマクロ・データを中心に行なった。後者では、スカルノ期~初期スハルト期にかけての州レベルから末端村落レベルまでの政治的動きを地元発行の新聞記事を通して探る努力をした。実はこれについては、すでにフィールドワークにおいて村レベルでの聞き取りをしているが、今回の文献調査はいわばその裏づけをとるためのものであった。聞き取りでは遭遇したことのない、例えば行政単位の分立運動などが50年代に活発であったことを知ることができ、ポスト・スハルト期の同様の動きとの比較にも通じる興味深い知見を得ることができた。連携研究者の阿部健一(総合地球環境学研究所・教授)は、インドラギリ川下流域のグンドゥン村に10日間の出張を行なった。村の訪問は5年ぶりだったが、戸数が以前より3倍に増え、携帯電話の普及が目覚しいなど、シンガポールとの経済的関係の密接化による変化の大きさを目の当たりにした。同じインドラギリ川沿いの地域とはいえ、中流域と下流域では外世界とのつながり方が大きく異なるというのが、現時点での結論である。
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Research Products
(2 results)