2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・ビザンティン聖堂壁画の図像学的研究-サラミナ島ファネロメニ修道院壁画修復
Project/Area Number |
19401014
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
木戸 雅子 Kyoritsu Women's University, 国際学部, 教授 (10204934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐸木 道剛 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (30135925)
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Keywords | 中世美術史 / ビザンティン美術史 / ポスト・ビザンティン美術史 / キリスト教図像学 / 壁画修復 / 絵画技法史 / ギリシャ / 国際情報交換 |
Research Abstract |
H19年度の研究実施計画の中心的事業であったサラミナ修道院聖堂壁画の修復実施にあたり、ギリシャ政府の事情によりH19年度内に修復許可が下りず、やむなく同事業の実施をH20年度に繰り越さざるをえなかった。繰越承認を得て、平成20年度8月末日までに修復許可を得てH19年度分の修復を終了させた。前年度の政府内のトラブルで同種の申請書審査が滞ったなか、研究協力者の国立ビザンティン美術館館長のディミトリス・コンスタンディオス氏と副館長のアナスタシア・ラザリドウ氏の協力により修復許可を得て滞りなく修復作業を完了することができた。修復は、聖堂北側廊の西側から祭室方向へ向かって進めた。側廊にある3つのクーポルの第二クーポルまでを予定どおり8月末までに終了し、10月に研究代表者と研究分担者で現地調査し、修復状況を視察した。 修復以前は蝋燭の煤により画像が明確に見えなかったが、今回の洗浄により最下段の聖人立像、二段目の殉教者像、三段目の聖人の殉教場面、クーポルの詩篇に基づく各場面を鮮明にその細部をみることができるようになった。修復により(1)色彩的に当初の予想よりも落ち着いた色調である。(2)18世紀絵画の特徴である細部の装飾性が、聖人立像の衣装の文様のバラエティーの豊富さ、各段を区切るフリーズの装飾帯に顕著である。(3)クーポルの詩篇に基づく図像は、稀な図像である。(4)壁画制作方法における色彩の使い方。などが明かになった。H21年3月18日にアテネビザンティン美術館で当修復の意義かその成果についての研究報告シンポジウムを開催し、研究代表者と分担者、及びギリシャの研究協力者4人が研究発表を行った。
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Research Products
(1 results)