Research Abstract |
平成21年度の主な研究内容は,主に1)ゴジャール・ワヒー語圏における現地調査の実施,2)現地調査成果のとりまとめ3)研究成果の発表―である。具体的には:1)ゴジャール・ワヒー語圏における現地調査の実施 前年度に引き続き,対象言語分布圏の主要3村落(グルミット,シスーニー,パスー)を調査対象地域として,夏期60日の現地調査を行った。作業内容は以下の3点である:(1)基礎語彙収集作業 前年度の作業に引き続き,ワヒー語に関する基礎語彙の収集作業を行った。特に今年度については,これまでに収集されていなかった,女性産育語彙,通過儀礼等に関連する語彙を中心とした。(2)基礎語彙チェック作業 インフォーマントの協力により,既に収集済みの語彙について,逐語再確認作業を行った。これは,次年度以降の基礎語彙集出版の準備作業となるものである。(2)言語テキスト採集および文法分析作業 現地に残る民話・民俗誌譚等のワヒー語テキストを収集し,これらを対象として,パミール諸語に特徴的なMoving Particlesの機能と能格構文を対象として,文法分析作業を進めた。2)調査成果のとりまとめ 現地調査終了・帰国後,チェック済み基礎語彙,文法分析作業に関するデータ整理を行った。また,収集した民話テキストについては,次年度以降に予定している,ワヒー語ウェブサイトにおける音声付き民話テキスト公開のため,音声テキストの整備などの作業を開始した。3)前年度までに得られた調査成果の一部として,ゴジャール・ワヒー語の能格構文について,その概観とパミール諸語における暫定的な位置づけ,さらに近年の能格構文にみられろ変化の状況を中心に,論文形式で発表した。
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