2008 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀後半における露清関係の変容と日本の北東アジア政策
Project/Area Number |
19401025
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
麓 慎一 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30261259)
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Keywords | ロシア / ウラジオ・ストク / プリモーリエ / 清朝 / 義勇艦隊 / アイヌ / 新潟 / 小樽 |
Research Abstract |
本年は、ロシア国立連邦文書館(モスクワ)においてラムズドルフ外相の資料を複写して分析した。特に、在ソウルロシア大使のプランソンやベゾヴラーソフの日露戦争をめぐる政治的対立についての資料を解析できたことが最も大きな成果であった。いわゆるポート・アルトーラとサンクト・ペテルブルグにおける重要会議の中で満州問題や朝鮮北部の中立地帯の設定の問題がどのように議論されているのかを一次資料によって分析することができた。 次に、日本の北東アジアへの航路形成の問題をロシアの義勇艦隊へ対抗策であることを解明した。新潟-函館-稚内-サハリン-ウラジオ・ストクなどの環日本海地域の航路形成の問題を義勇艦隊との関連から分析できたことで、従来の上海-長崎などの貿易圏と環日本海地域の航路形成の関係を結びつける視点を獲得することができた。 ロシア国立海軍文書館において帝政ロシアの清国政策と日本政策の関連を解析する資料を写真撮影した。特に、北京条約前後の露清関係の変動に関する資料を中心に解析した。このロシア海軍文書館の資料とロシア国立連邦文書館のコンスタンチン大公の文書群を合わせて検討することで、第二次アヘン戦争が露清関係の変容に与えた影響を解明する契機を得ることができた。この問題との関連で、アメリカ合衆国国立文書館において文書番号59を閲覧し、在ウラジオストク・在ニコラエフスクなどの領事報告を閲覧した。 本年度は、露清関係の変容に関して、ロシア側の資料を収集することに多くの点で成功したが、中国側の資料については、出版されている資料と論文等を収集するに止まった。
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