2009 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀後半における露清関係の変容と日本の北東アジア政策
Project/Area Number |
19401025
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
麓 慎一 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30261259)
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Keywords | ウラジオストック / ハバロフスク / 義勇艦隊 / 新潟 / 小樽 / サハリン島 / 日清戦争 / 北洋漁業 |
Research Abstract |
本年は、ロシア外務省外交資料館およびロシア国立文書館などの資料を収集した。当該資料が韓国の国史編纂委員会に多数、マイクロフイルムおよびコピーとして保存されていたため、同委員会において複写を行い、効率的に資料を収集することができた。 実施計画において予定していたロシアの地方文書館では、ロシア国立極東文書館の資料を収集することに成功した。開国期の幕府の派遣船の資料など、これまで存在は知られていたものの、日本人には利用されることのなかった貴重な資料を入手することができた。 中国の調査では、上海図書館において系統的に新聞資料を閲覧した。また、東華大学教授陳祖恩氏および上海博物館教育部主任郭青生氏の協力により、本研究課題に関する新たな資料の所在などについて情報を得ることができた。 韓国調査では、国史編纂委員会において関係資料を調査し収集することができた。特に、日清戦争以後の日本の北東アジア政策の要である、鉄道などのインフラ整備に関して多くの資料と韓国側の研究動向を把握することができた。韓国との関連では、明治30年代における日本と韓国の航路形成が、日本の北洋漁業の動向に連動していることを解明することができた。前年度の調査によって日本とロシア(ウラジオストック)の直通定期航路がロシアの義勇艦隊との関係から企図されたことを解明したが、本年はさらに日本と韓国の航路の形成についてもロシアの問題が関係していることを解明する手懸かりを得ることができたことは大きな成果であった。 研究課題に関係する新聞資料では、神戸大学の新聞サイトから多くの有用な新聞資料を入手することができた。同新聞サイトに収められていない新聞資料として『教海一瀾』や『宗報』などの宗門系新聞や雑誌も調査を行った。とりわけ、日本が進出した北東アジアの地域社会の動向を理解する上で、これらの資料群が役に立った。
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