2010 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀後半における露清関係の変容と日本の北東アジア政策
Project/Area Number |
19401025
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
麓 慎一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30261259)
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Keywords | 東亜汽船 / 自由港制 / ウラジオ・ストック / 旅順 / 釜山 / アーガンパチョル / 新潟 / 北京条約 |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀後半における露清関係の変容と日本の北東アジア政策の関係を解明することであった。このために、ロシア国立海軍文書館(サンクト・ペテルブルグ)・ロシア国立歴史文書館(サンクト・ペテルブルグ)・ロシア国立極東歴史文書館(ウラジオストック)・韓国国史編纂委員会(ソウル)・北海道立文書館(札幌)・国立国会図書館(東京)において調査を実施した。 以上の調査から、以下の点を明らかにすることができた。第一に、1860年のロシアのプリモーリエ(沿海州)地域の獲得後、ウラジオストックと釜山の貿易関係が形成され、この貿易を支える航路が日本の航路と競合していた点である。具体的には、義勇艦隊と東亜汽船の運航が、日本の大家汽船会社や日本郵船会社と競合する関係が形成されていた点である。第二に、第一の点とも関連するが、新潟や敦賀などの日本海岸側の諸地域とロシア極東の関係が、ウラジオ・ストックの自由港制の廃止によって大きく変容した点である。日露戦争の終結により、一時的にロシア極東との貿易を促進しようとする機運が日本海岸側の諸地域に形成されたが、これが自由港制の廃止によって消滅しいく過程を日露相互の史料によって解明することができた。また、これに関連してウラジオ・ストック・大連・旅順と日本の貿易関係が変容する過程についても分析することができた。 全体として、日本と北東アジア政策が、ロシアと清朝および朝鮮との関係の変容に強く規定されていることを明らかにできた。特に、航路の形成や停滞にこれらの地域の変容が具体的に顕れることを解明することができた。
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