2007 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス地方文書とオーラル・ヒストリーの組織的収集・保存体制の構築
Project/Area Number |
19401027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増原 善之 Kyoto University, アジア・アフリカ地域研究研究科, 研究員 (90378828)
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Keywords | 東洋史 / ラオス / 地方文書 / オーラル・ヒストリー / ラーンサーン王国 |
Research Abstract |
研究の開始にあたり、カウンターパートであるラオス国立大学社会科学部と本研究実施にかかる具体的な協議を行い、平成19年8月、同学部内にプロジェクト・オフィスを開設するとともに、増原(研究代表者)および同学部教員3名、リサーチ・アシスタント1名の計5名からなる研究調査班を組織することに合意した。その後、ラオス・サワナケート県において2回にわたって現地調査を行い、4郡(ウィラブリー郡、セーポーン郡、ノーン郡、ピーン郡)15カ村でオーラル・ヒストリーの採録および地方文書の探索を行った。特に、ウィラブリー郡では主に抗仏・反米闘争の経緯を綴った『ナムパーケーン村史』、ピーン郡ではフランス植民地化直前の1892年、同郡の領主が臣下の功労を称え、新たな氏名を与えることを記した文書および右文書を保管するための青銅製文書筒(ラオ語で「バンチュム」と呼ばれる)を発見し、写真撮影を行い、文書については現代ラオ文字への翻字を行った。1893年のフランスによる植民地化以前に作成されたラーンサーン王国期の行政文書が、ラオス国内で発見される例は極めて珍しく、貴重な発見といえる。さらに、今回採録した村の歴史や土地に伝わる神話、伝説、昔話などについてはラオス国立大学社会科学部の協力を得て、テープ起しを行い、編集作業を進めている。また、これらの現地調査と平行して、19世紀後半に隣国シャム(現タイ)によってムアン・サムヌアやムアン・サムタイなどの首長国(現在のラオス・ホアパン県に相当)からバンコクへ持ち去られたラーンサーン王国期の行政文書(ラーイチュム文書)の現代ラオ文字への翻字作業も継続して行っている。
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Research Products
(1 results)