2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス地方文書とオーラル・ヒストリーの組織的収集・保存体制の構築
Project/Area Number |
19401027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増原 善之 Kyoto University, 地域研究統合情報センター, 研究員 (90378828)
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Keywords | 東洋史 / ラオス / 地方文書 / オーラル・ヒストリー / ランサン王国 |
Research Abstract |
平成21年度において、研究代表者はカウンターパートであるラオス国立大学社会科学部の教員等4名とともに、ラオス国サワンナケート県へ2回、同プアパン県へ1回、現地調査に赴き、オーラル・ヒストリーの録音、地方文書および文書に関連する物品(印章、文書保管用筒など)の探索等を行った(サワンナケート県ではタイ系プータイ族、プアパン県ではタイ系のラオ族、プアン族、赤タイ族の村を中心に調査を行った)。前年度に引き続き、採録した村の歴史や土地に伝わる伝承、昔話などはラオス国立大学社会科学部の協力を得て、テープ起こしを行い、データベース化を進めている。この他、サワンナケート県の調査では、セポーン郡およびアサポーン郡においてバンチュムと呼ばれる文書保管用筒をそれぞれ1本ずつ、セポーン郡において想像上の動物と思われる図柄が入った印章2個と漢字6文字からなる印章1個、アサポーン郡においてハヌマーン(サル)の図柄が入った印章1個を発見することができた。特に、漢字6文字からなる印章の背部には14文字の漢字が刻まれており、この記事から同印章がベトナム阮朝第2代皇帝明命(ミンマン帝)の在位8年目、つまり西暦1827年に阮朝から現ラオス・サワンナケートの地方領主に下賜されたとする推測も可能であり、当時のラオスの地方領主が、シャム(タイ)のバンコク王朝だけではなく、ベトナムの阮朝にも服属していたことを示す極めて珍しい物的証拠であると考えられる。
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