2009 Fiscal Year Annual Research Report
古代エジプト新王国第18王朝時代後期の岩窟墓の調査研究
Project/Area Number |
19401034
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 二郎 Waseda University, 文学学術院, 教授 (70186849)
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Keywords | エジプト / 考古学 / 新王国 / 岩窟墓 / ウセルハト |
Research Abstract |
古代エジプト新王国第18王朝後半には、アクエンアテン王のもとで所謂「アマルナの宗教改革」が断行され、古代エジプト社会が大きく変容を遂げた時代であった。そうした変容は社会の政治宗教の制度などの問題ばかりでなく、当時、エジプト各地に造営された岩窟墓を中心とする墓の構造にも大きな変化をもたらしている。そこで本研究では、「アマルナ時代」の直前の時代である第18王朝のアメンヘテプ3世治世下(とりわけ治世第30年以降)で生じた岩窟墓の変遷に関して、テーベ西岸の岩窟墓を中心として検討を実施してきた。アマルナ時代直前のアメンヘテプ3世治世晩年には、それまで見られなかった精緻なレリーフ装飾を墓内壁画に見る大型の岩窟墓が突然として出現するようになる。それらのレリーフ装飾を持つ大型岩窟墓の中で20世紀初頭に簡単な調査が実施されたにも関わらず、その後100年以上も行方不明となっていたテーベ西岸アル=コーカ地区に位置するテーベ岩窟墓第47号(ウセルハト墓)の発掘調査を行うことでこの時代の墓の変化を追求することを目指した。発掘は2007年12月から実施され、初年度の調査で、ほぼ墓の位置を確定することができ、2008年12月から2009年1月の発掘調査では墓入口上部を発見することができた。そして2009年12月から2010年1月にかけての第3次調査では墓入口の全体を明らかにすることに成功し、墓入口の両側に刻された供養文や墓の被葬者ウセルハトに関する多くの碑文を新たに発見することができた。このことにより、これまで不明であった第47号墓の位置づけがより明確なものにすることができた。
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Research Products
(3 results)