2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル・パンタナールの伝統的な湿地管理システムを活かした環境保全と内発的発展
Project/Area Number |
19401035
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
丸山 浩明 立教大学, 文学部, 教授 (50219573)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 准教授 (70296234)
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
|
Keywords | ブラジル / パンタナール / 湿地生態系 / ワイズユース / 環境保全 / 内発的発展 / エコツーリズム / 水循環 |
Research Abstract |
本年は,当該科研費研究のみならず,これまで10年間にわたり実施してきたパンタナール研究全体の最終年でもあり,まさに研究総括の年度であった。そのため,これまでの実証研究を整理しそれをより広範なブラジル湿潤熱帯研究の中に位置づける作業や,研究成果の社会還元に向けた研究書の執筆作業が主要な研究内容であった。具体的な調査内容と成果は以下のようである。 1.パンタナールとその他の湿潤熱帯地域(主にアマゾニア)における水文環境の地域的差異について調査・検討を行った。その結果,パンタナールでは地表水の流動傾向が沖積地に形成された扇状地性の地形に沿った形で発現するのに対し,アマゾニアでは大局的には大規模な地質構造に沿った流動傾向となっており,同じ湿潤熱帯下でも大規模な扇状地性地形に特徴付けられるパンタナールの水文・水質環境の特異性が確認できた。 2.これまでのパンタナール研究で構築した,GISとGPSを組み合わせたフィールドワーク手法が,海外研究においてきわめて有効であることを,三回の招待講演会で解説した。また,野生動植物の観察やスポーツフィッシングに特化したパンタナールのエコツーリズムとは異なる,産業遺構(野生ゴム運搬用に敷設された鉄道遺構)や文化遺産(黒人奴隷がもたらした宗教・武芸)のスタディーツアー,伝統的な生活体験ツアー(野生ゴムの採集・燻蒸体験)などを北部や東北部で実地観察することで,パンタナール観光の多様化に向けた可能性が認識できた。 3.これまでの研究成果を取りまとめ,著書『パンタナールー熱帯大湿原の豊穣と脆弱』(海青社)として出版できるようにした。出版に際しては,2010年度日本地理学会出版助成に申請し,審査の結果,3月の学会にて出版助成交付証を受理した。
|
Research Products
(3 results)