2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
Banaban diasporic identity and memory of forced migration
Project/Area Number |
19401038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 海外学術 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
KAZAMA Kazuhiro University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (70323219)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | ディアスポラ / 強制移住 / 集合的記憶 / アイデンティティ / キリバス / フィジー |
Research Abstract |
(1)研究の背景および目的:本研究は、第二次大戦中に故郷バナバ島(現キリバス領)から追われ、帰郷を果たせぬままフィジー諸島のランビ島で困窮化した生活を送るバナバ人、および再移住者を主たる対象とする。 バナバ島は良質の燐鉱石を産出し、20世紀初頭以降、英国の会社によって採掘が進められた。第二次大戦中、東進した日本軍によって、バナバ人はナウル、コシャエ、タラワへ強制退去させられた。戦後、燐鉱石採掘拡大を目論む英国により、詐欺まがいの方法で数千キロ離れたランビ島へ人々は移送された。 それぞれ1970年にフィジー、1979年にキリバスが英国から独立し、バナバ人は国境線によって故郷の島から切り離された。また、バナバ島の内陸部は、80年間にわたる採掘によって荒廃し、居住不可能な状態である。 本研究の目的は、ランビ島上陸記念碑の建立や祖先の経験を再現する舞踊や語り等の歴史表象を手がかりとして、バナバ人がいかに過去の出来事を認識し、それを共有・伝達してきたのか、悲劇的強制移住に関する集合的記憶をいかに形成・再生産し、ナショナリズムを醸成してきたのかを考察することである。さらに、経験された歴史を踏まえて、調査地の人々が、いかに未来を見据えて模索し、自らを投企しているのかを論じていく。 (2)研究方法:人類学におけるディアスポラ論、記憶・認知論に関する文献研究を行って理論的素地を形成する。さらに、フィジー諸島のランビ島および都市部、キリバス都市部に居住するバナバ人ディアスポラの日常生活を把握するために、実地調査を行う。多くのバナバ人が困窮生活を送るなか、キリバス人やフィジー人との関係において、いかに自らのエスニシティを自覚し、アイデンティティを認識・構築しているのか、生活の場における参与観察を通じて情報収集を行う。
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Research Products
(7 results)