2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
A Multi-disciplinary Study on Mental Health Issues in Urban Sierra Leone
Project/Area Number |
19402010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 海外学術 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
OCHIAI Takehiko Ryukoku University, 法学部, 教授 (30296305)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | シエラレオネ / 精神保健 / 精神医療 / 薬物依存 |
Research Abstract |
(1)西アフリカの小国シエラレオネでは、1991年から2002年にかけて激しい内戦が展開された。そして、その過程のなかで、少年たちがゲリラに誘拐されて児童兵にさせられたり、少女たちがゲリラ兵の「妻」として事実上の性的虐待を受けたりするなどの深刻な人権侵害状況が広範にみられた。また、ゲリラ兵が一般市民の四肢を切断するという衝撃的で残虐な暴力行為が繰り返された。さらに、マリファナ、ヘロイン、コカインなどの薬物が戦闘員や若者の間で広く使用された。こうした内戦下での暴力や薬物使用は、児童をはじめとする様々な社会階層の人々に身体的な傷や障害はもちろん、トラウマ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、神経症といった多くの心の問題を残した。そして、紛争後の今日、戦闘員と非戦闘員にかかわりなく、その心のケアが精神保健上のひとつの重要な課題となっている。 (2)ところが、紛争後のシエラレオネでは、紛争前よりも精神保健サービスに対するニーズが一層高まっているにもかかわらず、従来からみられたわずかばかりの精神保健関連施設は内戦によって大きな被害を受けており、同国唯一の公立精神科病院が運営を再開したとはいえ、いまだかなり限定的なサービスを提供しているにすぎない。 (3)本研究の目的は、精神保健サービスの必要がこれまで以上に高まりつつあるにもかかわらず、その提供が極めて限定的な状況にある紛争後のシエラレオネに注目し、地域研究的な視点から、特に同国都市部の精神保健の現状とそのサービス向上のあり方に関する複合科学的な基礎調査を実施することにある。 (4)具体的には、本研究では、首都フリータウンといったシエラレオネ都市部に焦点を絞り、同国に現存する唯一の精神医療機関である「シエラレオネ精神科病院」(Sierra Leone Psychiatric Hospital)と、やはり同国のほぼ唯一の民間精神保健リハビリテーション施設である「シティ・オブ・レスト」(The City of Rest)の2つの施設を調査拠点にしながら、精神保健をめぐる以下の諸項目の実状について明らかにする。 1)精神保健の「サービス提供者」(シエラレオネ精神科病院、シティ・オブ・レスト)の現状とニーズ 2)精神保健の「当事者」(入院患者、外来患者、施設入所者、薬物依存症者など)の現状とニーズ 3)精神保健の「家族」の現状とニーズ 4)薬物(マリファナ、ヘロイン、コカインなど)の流通・規制・汚染状況 5)精神保健関連の法制度とプライマリ・ヘルス・ケアの取り組み 6)精神医療従事者の養成体制と向精神薬の種類・流通・価格 7)伝統的治療者の実践活動
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Research Products
(8 results)